連載

第12回ゲスト「西山宏幸のオレ哲学」第3週

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連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。12回目のゲストは、ブルドッキングヘッドロックの元・主宰で、自ら俳優であり、ミュージシャンでもある西山宏幸さんです! 3週目の今回の内容は、構想10年! 西山さんのミュージシャンユニットに参加した、成さんの驚きの(!)パートとは!?

COLUMN 2015 9/18 UPDATE

川本:西山くんは、僕自身これまで会ったことのないタイプなんですよね。ミュージシャン気質なのかなあ。だけど、西山くんのことを見てると、やっぱりどっかで僕もホントはミュージシャン気質な感じじゃないかって思うことがある。

 

西山:うんうん。

 

川本:だって、細かいこと考えたくないもんね、ホントは。でも癖として考えちゃうのよ。だけど目指したいところはミュージシャン気質というか、居心地が楽なのはそっちなんだろうなって。細かいことを考えるよりとりあえずやっちゃえばいいじゃん、っていうタイプなのかもなーって。西山くんと気が合うもんね。

 

西山:そりゃ、成さんはね、絶対ミュージシャン気質だと思いますよ。

 

川本:そうなのかね? 西山くん、ネイキッドハイというのを立ち上げましたよね。改めてミュージシャンに立ち返るってとこもあるのかなかな、あれは。

 

西山:そうですね。

 

川本:メンバーは西山くん一人。その都度、演劇みたいに客演を呼んで、自分自身がバンドとして存在するという。面白いよね。僕がやってる時速246億も近いかもしれないですね。僕は、演劇をやりたいからその都度集める。それで、この間、「ネイキッドハイの1発目のライブなので、成さんちょっと協力してください」と言ってくれたんだよね。もちろん「やりたい!」って即答。

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西山:それで、「フロントマンとしていてください、でも楽器はないです」という無茶ぶりをして。とりあえず、コレをやってくださいと、風を起こす、ブロワーを渡して…。

 

川本:西山くんはベーシストとヴォーカルなんで、僕はギターなのかな、それとも歌なのかと思ってたら、ブロワーを渡されるんですよ!?「成さんこれお願いします」って。

 

西山:(笑)。

 

川本:「・・・え?」って言ったら、「成さんはギターとかベースとかじゃなくて、風神です」って言われました(笑)。

 

西山:パートが風神(笑)。

 

川本:英語でFu-jinって入ってて、「・・・何を言ってんだ、この人?」と思って(笑)。

 

西山:いやいや(笑)。これはいいぞ!と。僕10年くらい、風神について考えてたんですけど。まぁ、風神ていう名前はちょっと前に思い付いたんですけどね。

 

川本:10年!

 

西山:僕、前にハリウッドでライブしたことがあって、対バンだったんですけど全然ウケなかったんですよ。それがもう、すごいショックで。

 

川本:ほう。

 

西山:やっぱショックじゃないですか。日本人にウケないよりも、知らない人にウケないっていうのは。ものすごいショックで、何でダメなのかもわかんないから、言葉で説明もしてもらえないし…、こっちも言葉を使ってフォローできないし。そのショックがずーっと頭に残ってて「使ってる言語が違う人も楽しませたいな」と思ってたんです。それでライブのパフォーマンスにとって、それは何なんだろうと考えてたら、「風だ!」とひらめいた!

 

川本:風(笑)。

 

西山:はい風! はい風神! でも、なかなか実現できなくて。それこそイメージがなかったんですよ。

 

川本:風の。

 

西山:風が、ライブでこうなるっていうイメージができなかったんです。だけど、成さんと知り合って、「あ! 成さんだ!風ができるのは成さんしかいない!」と思って。

 

川本:(笑)、オレは風で選ばれたわけですね。

 

西山:うん。

 

川本:まあ、結構なビッグバンドだったよね。ホーンセクションがいて、パーカッションもいてダンサーもいて大所帯。それで、リハやりますって言われて、リハもなにも、オレ風だって言ったら、ブロワーだけ渡されて。スイッチ押すとウィーンって出るんですよ、風が。

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西山:僕、それを見てケラケラ笑ってました。風、出てるわーって(笑)。

 

川本:重要なのは、ライブは5分じゃないってこと。5分ならなんとかなるんですよ。風で5分、何かやるんだったらなんとかなる。だけど、30分くらいやらなきゃいけないから。6曲、7曲あるわけだから。そうなると大変ですよ。どうしようかってことになるわけですよ。オレが20代だったら、もうそれで詰んじゃうんですよ。将棋で言うところの詰んじゃったって状態。

 

西山:うんうん。

 

川本:オレも過去にいろいろ経験してきたわけで、1つわかったことがありまして。昔、自分のバンドで香港でライブやった時に、言葉が喋れないって思って、まさに詰んじゃったことがあったんですよ。言葉が通じないとMCができない。喋れないんじゃ、どうすればいいんだって、「あぁぁーー!!」ってなった。で、本番でどうなったかって言うと、日本語で喋り出したの。「いやー君たちねー」って。そしたら、なんと、通じてくるんだよね。

 

西山:へぇー。

 

川本:それは詰んだ後だからできたことなんだよ。死後の世界っていうか、そういうようなものからが、本当の始まりのような気がした。要はそれ以前で出るものって、多分ノッキングしてる、テンパリ度合いだけが伝わってるんだよね。そのあとの、死後の世界になるとテンパリはもう卒業して、開き直りっていう、いい概念になる。開き直ると、今度は意外にも通じてくるね。不思議なんだよね、これ。

 

西山:そうですね。「おーい君たち!」って想いの、シンプルなエネルギーですよね。それが伝わったってことなんですよね。

 

川本:そうそうそう。そこ、通じてくるんだよね。人としての感じという想いというか。生物学的にも一段階進化する感じがあった。

 

西山:すごい。

 

川本:で、今回の風。まず、風と聞いたときに、風としてやれることをピックアップしてみたんですよ。そうすると、そんなにないんだよね。

 

西山:(笑)。そんなにないですね。

 

川本:そんなにないでしょ、やれることって。それで、西山くんに聞いたんだよね。紙吹雪使える?って。そしたら、ライブハウスが紙吹雪NG。これで1個詰んだ。それからピックアップしたいろいろが、すべてNGだったんですよね。全部詰んじゃった。そこからなんだよね。やれなくてよかったんだよ、多分。

 

西山:僕も真っ青ですよ。一番やりたいことができない。でも、結局ね、「なんとかお願いしますお願いします」ってひたすらライブハウスに頼み込んだら、「大丈夫です」と。「スカートめくるだけなら大丈夫です」って。

 

川本:てことで、ま、スカートをめくったんですけど(笑)。あとは、なんだろうね、一つの形になったよね。オレは、自分は布袋寅泰だと思ってブロワーを持ってやったんですけど。あれだったら2時間やれるな、と思った。ブロワー一つで。

 

西山:全然いける!

 

川本:面白いのは、バンドというものを、ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルでブラッシュアップしていって…っていう既存の形じゃなくて、一つの破壊要素を入れるっていう。

 

西山:ブロワーだから、とにかくすごい音がするんですよね(笑)。でも成さんはあえてマイクの近くでブォーってやってるんですけど、それがものすごい開き直りの境地。これしかないからこれやるんだっていう。そしたらね、感情が伝わってくるんですよ。ブォーっていう…それ泣きそうになっちゃいました。

 

川本:しかも当日、西山くんがブロワーにアタッチメントのトイレットペーパーの芯みたいなやつを差せるようにしてて、そこにエアコンの風を伝える素麺みたいな飾りをいっぱい付けておいてくれたんですよ。風が目で見てわかるように。で、本番で使ってたら、舞台の吹きだしの所のすぐ近くにある通風孔に、始まって2分で素麺が絡まっちゃってね、巻き込んじゃって動かなくなっちゃったの。始まって2分で終了ですよ。で、一生懸命後ろでちぎったりして、やっと全部ちぎれて。でもその絡まったやつがよくわからない形になって、ある所が切れちゃって結ばれちゃって2倍の長さになって。ただそれが武骨になって、なんか面白かったんだよね。

 

西山:くしゃくしゃになって、まさかの長さになっちゃった!

 

川本:まあ、結局面白かったんですけどね。

 

西山:それで、そのパフォーマンスの途中で成さんがブォーってやってるんだけど、すごく長くなっちゃったもんだから、途中までしかヒラヒラなびかないんですよ。シナッとしてた。そしたら一瞬、ヒラヒラ全体がピシッと立ち上がったように見えた瞬間があって、そのときはもう、客席も僕らもワーっとなりましたもんね。よくわからない盛り上がりを見せた(笑)。

 

川本:やっぱり『2001年宇宙の旅』みたいに、人は進化していくんですよね。それは30分の中での道具の使い方であったり。長くなっちゃった素麺をピシッとなって風に乗せられる感覚とかね、あぁすごい進化するんだなって思った。ま、ネイキッドハイという、そういう面白いことを始めたということだね。

 

西山:また9月にもやりますからね。

 

川本:非常に面白いよね。

 

西山:もう、完全に成さんは巻き込んじゃいましたんで(笑)。

(4週目につづく)


ゲスト・プロフィール 西山 宏幸(にしやま・ひろゆき)
2001年からブルドッキングヘッドロックに参加し、俳優活動と共に、ほぼ全ての作品の音楽制作を担当。
2007年から2015年まで劇団の主宰を務める。
2013年のvol.23『少し静かに』では、演出・音楽・出演。劇場空間含め、舞台上のあらゆる「音」を取り入れた演出を行う。
最近の音楽制作としては、舞台『墓場、女子高生』、NHKドラマ『妻は、くノ一』、『妻は、くノ一~最終章~』、ABCドラマ『敏感探偵ジャスミン』(監督:入江悠)など。2015年3月自身がプロデュースするバンド「Naked High」の活動を開始。Vocal,Bassを担当。カーニバルのようなliveを目指して活動中。


ホスト・プロフィール 川本 成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。趣味の分野では映画好きで、大の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)


★西山宏幸さん出演情報です★
<舞台>
ポップンマッシュルームぴあ野郎公演「錆びつきジャックは死ぬほど死にたい」
10月28日(水)~11月3日(火)@CBGKシブゲキ!!
作・演出:吹原幸太
http://pmcyaro.com/stage/pmpyaro_rustedjack/sp/
★音楽を担当しています

<映画>
「愛を語れば変態ですか」(監督:福原充則)2015年秋公開
★音楽を担当しています

blog「かんたんに新しいわたし」http://ameblo.jp/nishiyamah/
Twitter https://twitter.com/nishiyamah


★川本成さん出演情報です★
<舞台>
時速246億 川本成ソロ公演「独立」
11月11日(水)~15日(日)@中野・劇場MOMO
演出:小林顕作/作:川本成、小林顕作/出演:川本成
http://www.jisoku246.com/info/

WATARoom produce6 VIVID CONTACT -re:born-
2016年1月8日(金)~17日(日)@中野ザ・ポケット
http://www.wataroomoffice.com/news.html

<LIVE>
川本成のフォークとトークin名古屋
10月11日(日)OPEN 17:00/START 17:30 @LIVE HOUSE Tiny7
http://www.hagimoto-kikaku.co.jp/asarido/reserve_folk/

blog「Naru’s blog’n boy」http://ameblo.jp/kawamotonaru/
Twitter https://twitter.com/runarurunaru

 

 

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