連載

第14回ゲスト「細川徹のオレ哲学」第1週

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連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。14回目のゲストは、男子はだまってなさいよ!細川徹さんです。 11月18日(金)~27日(日)赤坂レッドシアターで上演の、時速246億の本公演『バック・トゥ・ザ・ホーム』で作・演出を担当。そこで稽古が始まる前に、細川さんの哲学を伺ってみることに……。

COLUMN 2016 11/22 UPDATE


川本:細川さんには、今度、時速246億の舞台を演出してもらうんですが、今日は、いつも細川さんがどうやって物を作ってるのかが聞きたいなと思って。自分の中のルールがあるでしょ? パターンとか、こだわりみたいな。

細川:うーん、あるんでしょうね。あるのかなぁ?

川本:元々、書くのは、好きなんですか?小さい頃から?

細川:元々好きなんですよ。

川本:小さい頃から?

細川:子どもの時から書いたりするのが好きで、中学の時も高校受験の小論文なんかも、ウケ狙ったことばっかり書いてて…。

川本:(笑)。

細川:回りがウケるから喜んでたけど、まぁ、学校は落ちましたね。

川本:(笑)。

細川:ルールか…何だろう? 大体、オレ、作るときは何人か客を想定してるんですけど、その人がどう思うかっていうことで作ってるところが結構ありますね。

川本:架空のお客さんってことですか? それとも実際の友達?

細川:例えば、きたろうさんとか。

川本:はいはいはい。

細川:きたろうさんが楽屋に来た時に何て言うかな、とか。そういう想定で作ってますね、舞台は。

川本:あー、なるほどねー。

細川:何人か具体的に、そういう人を想像してます。

川本:自分が好きな人とかリスペクトしてる人の反応だ。

細川:うん、そうしてますね。客で来た時にどう思うかな、とか。

川本:気が緩まんないですね、そういう意味では。

細川:そうですね、気は緩まないですね。

川本:気が抜けない。

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細川:基本的に気は抜いて作ってないんじゃないですかね。だからゆるいゆるいって言われるのが心外だけど(笑)。大体オレの舞台は、観るとゆるいって言われるんだけど、ゆるいのをカッチリ作ってるから。

川本:そうですね。アドリブもないし、稽古も結構ストイックに作りますよね。

細川:そうそう、だからゆるいってどういうことなんだろうって考えると、まぁ、ぼんやりした笑いっていうことを言いたいのかもしれないけど、でも、オレの舞台は割と瞬発的にパシッと笑うのが多いから、どの辺がゆるいんだろうって、わからないんですけど。

川本:日本庭園みたいな意味合いじゃないですか。

細川:放送コードとかはゆるいかもしれないですけどね。

川本:(笑)それはゆるいっていうか…。

細川:ダメだからね(笑)。

川本:アウトなやつじゃないですか。

細川:そう、アウトだから。

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川本:もう本多劇場でやったときの(男子はだまってなさいよ!⑨「聖バカコント」)は、完全アウトなヤツでしたよ。おもしろかったですけどね。ホント笑った。

細川:観に来た人に喜んでほしいっていうのがあるじゃないですか。そうすると、表現が変わる。映画とか舞台とかテレビとか、それぞれ喜ぶ人が違うから。

川本:うんうん。

細川:テレビでドラマ作るとしたら、きたろうさんだって酒飲んで見るし、ダラっと見るでしょ。トイレも行くし、電話も出るし。そしたらそもそも、別にきたろうさんを想定しなくてもいいっていうのもあるし。

川本:なるほどね。

細川:その場合は、一般のお客さんを想定して作っちゃいますよね。

川本:人が笑うって、めちゃくちゃ広いじゃないですか。オッケーラインが。

細川:うん、広い広い。

川本:その中で、例えばきたろうさんをターゲットにするとね、極端な話で言うとウケるウケないよりも、もうちょっと上のレベルで考えて、その上で笑いが欲しいっていう考え方になってきたりしません?

細川:けどまぁ、きたろうさんの話ばっかりになっちゃいますけど、きたろうさんもやっぱり目先の笑いも欲しいじゃないですか。

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川本:そうですね。

細川;きたろうさん、目先の笑い欲しい人でしょ。

川本;ホント、頼まれてないことやりますもんね。

細川:そう、頼まれてないことするでしょ。

川本:するする。

細川:で、ウケなくてもいいんだとか言うけど、まぁ、誰だってウケたいんですよ、基本は。当たり前だけど。だからオレも、確実に狙いにいってるやつは笑いが欲しいじゃないですか。でも同時に、別に全部の時間笑いつづけてなくてもいい、ウケない時間も大事だとかって思うところもやっぱりあって。

川本:はい。

細川:自分の作品に限らず、観に行った時もそう思うんだけど、ちょっと休憩したいってものあるし。年齢のせいかもしれないけど。

川本:どうなんだろう。まぁ基本は緩急というか、フリがあってオチがあるってことになってくるわけじゃないですか。ずっとオチばっかやっててもね。

細川:そうそう。なんか年齢を重ねてきて、そういうのが怖くなくなってきたっていうのがあるのかもしれないです。前はウケない時間が怖かったんだけど、それもフリだから、と、平気になってきたというか。多分、構造で作るっていうのを意識してやるようになったのかもしれないですね。昔は構造がないものがおもしろいと思ってた。あえて崩そう崩そうとしてました。そうやってパターンをなくして、どうやって作ってるかわからないようにしようと思ってたんだけど、それはやっぱり難しいし、もっと簡単に考えてみようかなって数年前に思って…。

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川本:シンプルになってきたってことなんですか。削ぎ落とされてきたというか。

細川:そう思います。やっぱり好きなことをやるのがいい。パロディをやったりするのが自分にはいいと思ってる。でも昔は、パロディもかっこ悪いと思ってたんですよ、学生時代によく自主映画で、5分とか10分のどうしようもないパロディの作品とかをいろいろ作ってたから。そのおかげで確かに得意だったんだけど、まぁ笑いとしては簡単というか…何て言うんでしょうね…斬新じゃないんですよ。だから、最初はずっと変わったものを作りたいっていうのがあった。でも40歳前、37、8歳くらいの時に吹っ切れて、好きなことでやっていけばいいじゃないってことになったんですね。

川本:うんうん。まぁいろんなのあるしね。パターンも無限だし。

細川:そうなんですよね。無限ですよね。
川本:オレもそうなんですけど、コント作ってた時は、とにかく人と違うことしかやりたくないっていうのがあった。性根が悪かったから(笑)、相方を出さないとか。コンビでやるのに(笑)。出さないっていうか、映像だけで出すとか。他人と同じようなことが嫌だったっていうところがあった。あとは、それ言ったらウケるけど、あえてそれは言いたくないとか。

細川:そういうのは、何なんでしょうね。多分、若さでしょうね。

川本:抗ってるってことじゃないですか。

細川:オレも最初に演出した舞台って、役者が5人いるんだけど、一人芝居やろうってことになったんですよ。まず役者が5人集まったんですよ。で、5人で何しようかってなった時に、一人芝居やろうってなったんですよ。5人いるのに1人ずつしか出ないんですよ。それが最後繋がってくる、みたいな。…もう大変で。当たり前だけど。

川本:(笑)

細川:本当なら普通に出ればいいわけだから。それが、楽屋に常に4人いるわけですから。5人のうち1人が舞台に出て、入れ替わって入れ替わってだから。何であんなことしたんだろうって…。

川本:5人で出ればいいじゃんって話ですよね。

細川:5人出ればいいじゃん……って始めたのが「男子はだまってなさいよ!」だったんですよ。

川本:あー、なるほどね。

細川:こんな苦労してね、1人で全部落語みたいにやってるけど、他に4人いるんだから、一緒にやればいいじゃんっていう。

川本:うんうん。

細川:だから変わったことをしたいっていうのは……、何なんでしょうね。

(次回に続く)


ゲストプロフィール 細川 徹(ほそかわ・とおる) 
コントユニット「男子はだまってなさいよ!」主宰する他、シティボーイズライブの作・演出、ドラマ『乾杯戦士アフターV』のシリーズ構成・監督、テレビアニメ『しろくまカフェ』のシリーズ構成・脚本、ピューロランドの『ぐでたま・ザ・ムービーョー』の作・演出を務めるなど、幅広く活躍している。現在、脚本・監督を務めた映画『オケ老人!』が大ヒット上映中。

ホストプロフィール 川本 成(かわもと・なる) 
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』、『おしゃべり会戦車部』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』、『ブルドッキングヘッドロック おい、キミ失格!』、『月刊「根本宗子」忍者、女子高生(仮)』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。趣味の分野では映画好きで、大の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)


★細川 徹さん、川本 成さん お知らせ★
<舞台>
時速246億「バック・トゥ・ザ・ホーム」
11月18日(金)~27(日)@赤坂レッドシアター
http://www.jisoku246.com/

★細川 徹さん お知らせ★
<映画>
「オケ老人!」
脚本・監督作品/大ヒット上映中
http://oke-rojin.com/

twitter @toruhosokawa

★川本 成さん お知らせ★
<舞台>
小堺クンのおすましでSHOW FINAL~おすましBeyond(のむこうがわ)~
2017年3月9日(木)~12日(日)@新国立劇場 中劇場
http://t-onkyo.co.jp/?ticket=%e5%b0%8f%e5%a0%ba%e3%82%af%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%a7show-final

<イベント>
おしゃべり会 戦車部イベント
12月10日(土)16時開演予定@東京都新宿区内
詳細はコチラをご確認ください
http://www.kzstation.com/info/info_detail.html?id=538&type=1

<テレビ>
スタイルプラス
東海テレビ 毎週日曜12:00~13:45
http://tokai-tv.com/styleplus/

<ラジオ>
ナルウザクスダの!
インターネットラジオステーション音泉 毎週月曜配信
http://www.onsen.ag/
おしゃべり会 戦車部
インターネット放送局 ケーズステーション 不定期配信
http://www.kzstation.com/
blog「Naru’s blog’n boy」 http://ameblo.jp/kawamotonaru/
twitter @Runarurunaru

 

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