連載

第16回ゲスト「川尻恵太のオレ哲学」第2週

2017-0419_0114連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。16回目のゲストは、演劇からお笑い、小劇場から乃木坂46の舞台まで幅広く活躍する川尻恵太さんです。2週目は、故郷北海道からついに東京へ進出した川尻さん。きっかけを作ってくれたラーメンズとのかかわりから、川本成さんとの出会いまでを語ります。

COLUMN 2017 9/29 UPDATE

川本::川尻くんが北海道で本拠地にしていたBLOCHってのが、またいい劇場なんですよね。東京にはああいう劇場ないよね。

川尻::真っ黒で四角い劇場なんですけど。

川本::暗転がすごい効くしね。見やすいし。スタジオアルタみたいな感じだよね。お笑いやるにもいいしね。

川尻::客席がひな壇になってるし、小劇場のわりに袖が広い。それを利用して袖の中から6mの棒で物を倒し続けるというのを、ソロライブでやったことがあるんです。俳優は1回も出てこない で、ただ棒が物を倒し続けるだけという。

川本::誰も出てこないソロライブだよね。

川尻::そんなふうに、いろんなことをやってるうちに、ラーメンズが全国ツアーでルネッサンス・マリアテアトロという劇場に来て、そこから毎年北海道に来るようになったんです。僕が、お笑いも演劇もやってる時に、ラーメンズの小林賢太郎さんも同時にKKPという演劇ユニットを立ち上げていて、お笑いもやり演劇もやる、そして大喜利ライブも始めたい、ソロパフォーマンスも構想中という時期で。そんな時に、BLOCHの和田さんが「きっと勉強になるから」と、札幌公演のお手伝いに呼んでくれたんです。それで、みんなで飲んでる時に、「僕はお笑いやりたくて…」みたいな話をして、そこから毎回手伝うようになったんですよ。

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川本::へぇー、すごい縁。

川尻::毎回、手伝って飲むというルーティーンができて、そうこうしているうちに、「君は札幌でどうなりたいの?」という話になって。やりたいことを話している中で、小林さんに引っかかったのが大喜利なんですよ。僕、ネット大喜利みたいなものの全国大会で、たまたまその年に優勝したんです。その話をしたら「今度、升野英知(バカリズム)と2人で大喜利ライブをやりたいんだけど、お題を作る人がいない。お題ってすごく重要だから大喜利が得意な人に作ってもらいたい。札幌でやりたいライブだから、東京から作家を連れてきてもいいけど、できるなら札幌に住んでるやつとやりたい。そう思ってる時に君の名前が挙がったんだけど」と言われて。そのオファーを受けたんです。それが「大喜利猿」という公演なんですけど、そこから5年くらいやってましたね。多分、「大喜利猿」は2004年くらいから、北は北海道、南は沖縄まで全国津々浦々でやってたんですけど、僕はその度に北海道から出て行ってた。

川本::いつごろ東京に来ようと思ったの?

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川尻::2005年、ラーメンズの『アリス』という公演の打ち上げで、「そろそろ東京出てこないの?」って言われたんですよね。その時は「1年だけ考えさせてください」と言ったんです。まだ劇団ギャクギレとして満足のいく動員の公演をやってなかったというのと、僕が劇団を作るきっかけになったANDと一緒に何かやりたい、そこの亀井(健)さんにも認めてもらいたい、あとお笑いでも何かしらで1位を取ってから行きたいという気持ちがあって。だから 「それが1年で全部叶ったら行く」 と決めて。

川本::全部かぁ!

川尻::そうなんです。それで、まず劇団ギャクギレは満席で動員することができて、亀井さんとは『ロミオ&ジュリエット』という公演を苗穂聖ロイヤル歌劇団とANDで同じ週に違う劇場でやるということを実現して、その公演も成功、そして、お笑いの大会でも2位になったんですよ(笑)。2位だけど、「ま、いいか!」と思って。

川本::「2位だったら、もう、ほぼ1位だし、いいや!」ってね。

川尻::決勝行ったし(笑)。それで、1年後に、東京に出てきましたね。

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川本::ついに!

川尻::ここも分岐点なんですけど、1.2.DONの相方のウジツグに、「東京行くけど行くかい?」と話したら、ウジツグが「お医者さんに東京行ったら死ぬ」って言われたから行かないって。

川本::喘息持ちなんだよね。

川尻::喘息とかアトピーといろんな病気を持ってるやつで。「君は東京の空気を吸ったら死ぬよ」って言われたみたいで。

川本::それってお医者さんの勝手な予測じゃん(笑)。

川尻::だから、1.2.DONは解散して、劇団ギャクギレの方は、しばらく僕が脚本送ってやってたんですけど、徐々に動員が減っていき、2010年に解散しました。それで1人で東京に出てきて、僕のことを誰も知らないので、どこかからも誘われないまま小林賢太郎さんの公演のお手伝いをしつつ、ちょこちょこ安田ユーシさんと犬飼若博さんがやってた「双六」という公演とか、親族代表というコントユニットに脚本を提供するようになりました。賢太郎さんに紹介してもらった人に作品を見てもらって、気に入ってくれた人が仕事を振ってくれる、という感じでしたね。親にも 「5年間は僕の名前を聞かないと思うから、5年間は東京で潜ります」 と言ってました。それが2006年ですね。

川本::こうやって川尻くんの経歴をじっくり聞いたのって、オレ初めてだよね?

川尻::そうですね。

川本::川尻くんは、自分で状況を作るっていう男だね。オレなんか東京で流れに任せてやってたから、自分で何かを作るってことじゃなくて周りの状況に巻き込まれていくっていう方向だった。あさりども状況作ってもらって、それに乗っかってたから。ネタ作るにしてもそう。時速246億が自分で初めてやったもので、その何年目かに川尻くんに出会うんだけど、最初に会った時の印象はやっぱすごかったね。

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川尻::渋谷の飲み屋で会いましたよね。

川本::ちょうど、舞台「記憶メモリン」をやる時だったんですけど、タイトルを決める時だよね?

川尻::そうですね。その時に「記憶メモリン」ってタイトルにしようかと思うんだけどって、成さんが言ってて…。

川本::川尻くんが「いいですね、“記憶”と“メモリン”、同じ意味っていいですね!、じゃあ“きおくん”と“メモリン”っていう『愛・地球博』のモリゾーとキッコロみたいなキャラクターを作りましょうって言ってて(笑)。もう会って5分くらいくらいで物創りのアイディア出しの話になったんですよ。

川尻::(笑)。

川本::まず自己紹介して、「僕は今までこういうことをやってきて…」という話をすっ飛ばして、早速どうやったらおもしろいかという話に突入してたんですよ。「ああ、これはおもしろいな、良い出会いだな」と思いましたね。

川尻:: 僕、すごく出会いに恵まれてるんですよね。 ANDの亀井さんとか小林賢太郎さんも然りですけど、成さんとか、成さんを紹介してくれた御笠ノ忠次に出会うきっかけも、不思議な縁で。札幌にニシオカ・ト・ニールという子がいまして、札幌時代に一回だけ一緒に舞台をやったことがあったんですけど、その子が東京に出て劇団をやってたんですよ。それで、僕が東京に出てきて家を探さなきゃいけなくなった時に、ニシオカに案内してもらったんです。その時に、この近くで友達がライブやってるからって一緒に行ったら、そこでMCやってたのが御笠ノだったんです。

川本::御笠ノくん、MCやってたの!?

川尻::バンドもやってたみたいなんですけど、僕が行った頃にはほとんど終わってて。そこで御笠ノと初めて会って挨拶したんです。そしたらもうその一か月後くらいに、コントライブに出てくれと言われて。稽古に行ったら内容は決まってなくて、何かおもしろいこと考えてきてくださいと言われて、ピンネタ考えていってやったらそれがすげーウケて。なぜか客演したのにピンネタをやるっていうことになって(笑)。それが御笠ノとの出会いですね。

川本::オレは御笠ノくんから川尻くんを紹介してもらったもんね。

川尻::だからその辺のフットワークは軽いんですよね。「なんかやりたいね」
「じゃあやろう」ってなる。

川本::話が早いんですよね。御笠ノくんも早いけどね。

川尻:: 会って、こういうことやろうよ、おもしろいねってなるような、そういう人とは合うなという感じがしてて。

川本::そこから知り合ってバババババーっと界隈ができたよね。

川尻::いまだにその界隈でみんなでつるんでますもんね。

(3週に続く)

 

ゲストプロフィール 川尻恵太(かわじり・けいた)
北海道札幌市出身。脚本家、演出家、俳優。SUGARBOY主宰。
2000年に札幌で劇団ギャクギレを旗揚げ、2010年の解散まで、
ほぼ全ての作品の脚本演出を担当。
2006年に上京。ラーメンズ及び小林賢太郎作品の演出補、
エレキコミック、エレ片の構成作家も務める。
お笑いから演劇に至るまで幅広く作品を発表する新進気鋭の作家である。
近年では、乃木坂46舞台「じょしらく」弐、
ミュージカル「青春-AOHARU-鉄道2~信越地方よりアイを込めて~」(脚本演出)、
おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」双(脚本演出)などを担当。

ホストプロフィール 川本 成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ『ナルウザクスダの!』、『おしゃべり会戦車部』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』、『義風堂々!!』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『男子はだまってなさいよ!聖バカコント』、『ブルドッキングヘッドロック おい、キミ失格!』、『月刊「根本宗子」忍者、女子高生(仮)』他、自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。2016年に細川徹(男子はだまってなさいよ!主宰)を作・演出に迎え上演したSFコメディ「バック・トゥ・ザ・ホーム」の再演&続編を2018年秋に同時上演することが発表され話題を呼んでいる。趣味の分野では映画好きで、大の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ファン。この作品を語らせたら右に出る者はいない、と本人が自負している。(あくまでも本人が)

 

★川尻恵太さん お知らせ★
<舞台>
AD-LIVE2017[演出]
2017年9月・10月@千葉・東京・大阪
http://ad-live-project.com/

ハンサム落語 第九幕[脚色]
2017年10月11日(水)~22日(日)
http://www.clie.asia/hr9/index.html

順風男女ベストコント集『7UP』新作コント集『順風ジャンボ』[脚本]
2017年10月14日(土)~22日(日)@下北沢OFFOFFシアター
http://junpu-danjyo.com/

ベニバラ兎団vol.22「ICE CREAM GOOD BYE」[脚本]
2017年10月25日(水)~29日(日)@新宿村LIVE
http://www.benibarausagidan.net/

エレキコミック第27回発表会「Lemon Lime 100% Girl」[構成]
2017年11月1日(水)~5日(日)@下北沢本多劇場
http://www.elecomi.com/

twitter @ sugarboykiller

★川本 成さん お知らせ★
<舞台>
舞台「ACCA13区監察課」
2017年11月3日(金・祝)~12日(日)@品川プリンスホテル クラブeX
http://www.acca-stage.com/

「ONLY SILVER FISH」
2018年1月6日(土)~17日(水)@紀伊國屋ホール
http://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/

<映画>
「ONLY SILVER FISH」
2018年春公開予定
http://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/

<テレビ>
アナログBANBAN
AT-X 初回放送 毎月第一日曜22:30~23:00
https://www.at-x.com/program/detail/7978

<ラジオ>
ナルウザクスダの!
インターネットラジオステーション音泉 毎週月曜配信
http://www.onsen.ag/

おしゃべり会 戦車部
インターネット放送局 ケーズステーション 不定期配信
http://www.kzstation.com/

blog「Naru’s blog’n boy」 http://ameblo.jp/kawamotonaru/
twitter @Runarurunaru

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