連載
第1回ゲスト 『小林顕作のオレ哲学』第1週
記念すべき第1回のゲストは、宇宙レコードやコンドルズでおなじみの小林顕作さん。川本さんとは、約8年前からのお付き合いで、現在、川本さんの演劇ユニット時速246億では作家陣として参加しています。さて、小林さんからはどんな「オレ哲」が飛び出すのか…乞うご期待!(写真/下坂敦俊、構成・文/中村恵美)
COLUMN 2011 12/23 UPDATE
川本:今回からこのコーナーが始まったわけですけれども、第一回目のゲストは、小林顕作さんです。
小林:俺、最初なの?
川本:そうなんです。記念すべき1回目。顕作さんは、僕の恩人だから、ぜひ1回目にお願いしたかった。僕が、芝居のときの居方がつかめずに行き詰っていたころ、顕作さんが「もっと自由になっていいよ」って言ってくれたでしょ。それで、勇気を持ってバカみたいにやった。あれから吹っ切れた。
小林:バカな目してたよね(笑)。
川本:してた(笑)。実は、この連載を始めるにあたって考えたのが、いろんな人の哲学を聞きたいなと。俺ね、演劇人に限らず、ミュージシャンとか、スポーツ選手とか、その人のね、持論が好きでね。
小林:持論ね。
川本:「イチローは朝カレーを食う」とか、何でかな?というようなことが、結構あってね。そういうのを聞くコーナーにしようと思って。
小林:うんうん。
川本:哲学家ってね、思想をフレーズにした人、うまくタイトルにした人だと思うんですよ。皆、同じような面白いことを思いついたとする。それを、「おー、なるほど!」って思わせるフレーズにした人ってオシャレでしょ。それが「哲学」というものだと。
小林:そうかぁ。
川本:それで、顕作さんの「オレの哲学」を聞きたいなということなんです。
小林:哲学か~。
川本:はい、で、早速ですけど、この間の宇宙レコード、面白かった!
小林:へへ、ありがとうございます。
川本:俺、宇宙レコード見るの初めてだったでしょ。
小林:そうね。
川本:ずっと前から知り合いなのに。
小林:うん。
川本:顕作さんて告知メールくれないからね。あんまり。
小林:そうね。しないね。
川本:これって哲学でしょ(笑)。
小林:そうだ、俺の哲学は
「告知メールをださない」
(笑)。
川本:なぜ?
小林:人からもらうのは嫌じゃないし嬉しかったりもするのよ。「あ、アイツ、今こういうこと、やってんだな」とかわかるし。だけど、何故自分がやらないかというと…、友達の為には芝居してないから(笑)。
川本:なるほど。面白いな。
小林:お客さんの為にやってるから。告知メールを出すのは、仲間を呼ぶみたいで、自分としては、ずるい感じがするんだよね。だけど、知らせたいって気持ちも全然ないことはない。だから、直接会ったときには渡すの。それって時の縁だから。
小林:ご縁があった時には知らせる。でも今、連絡取ってない時は、今はご縁がないなと思うから、わざわざ「来いよ」って呼ぶ行為が好きじゃない。
川本:普通の人はね、集客の問題もあるから、やっぱり一枚でもチケットを売りたいでしょ。だから告知するよね。
小林:そうそう。売りたいから知り合いに電話やメールをするでしょ。俺も、制作から「チケットがあるので告知して」と言われたらメールはするよ。その人たちの為だから。でも、宇宙レコードもコンドルズも、今はチケットが売り切れちゃう。この間も2時間くらいでなくなっちゃたのよ。公演数も少ないし。小さい所で短くやりたかったから(笑)。
川本:確かにおっしゃる通り、顕作さんの知り合いはもう、顕作さんの面白さを知ってるからね。その人に対してプレゼンをしなくてもいいか。
小林:どっちかっていったら、
俺は舞台よりも飲み屋の方が面白いんじゃないかと思ってるくらいだから。
舞台はね、決められたセリフでやってるから。
川本:決められたセリフでやってなかったじゃない、全然!
小林:そうなんだけど(笑)。
川本:全く同意見ですけど。飲み屋の方が面白いんです。俺も。
小林:そうなっちゃう。
川本:でもね、告知しないっていうのはね、皆憧れるけど、金銭的な問題があるから、結局出来ない。顕作さんは最初からそうだったの?
小林:もう、ほとんど最初から。
川本:そうすると、貧乏時期もあったでしょ?
小林:うん、貧乏だった。でもね、お芝居をはじめて、学校卒業してからは、チケットノルマをかけられる舞台には出たことない。
川本:それは凄いよ。
小林:卒業したら、プロとして立たなきゃいけないと思ったから。ノルマかせられて払いながら、バイトもしながらっていうやり方は、僕は、僕がアマチュアだと思うので。
川本:そうなんですよねぇ。
小林:
ノルマがかかるなら、じゃあ僕はやらない。ギャラはちゃんと支払われるものじゃないとやらないと決めちゃったの。
川本:決めちゃったのね(笑)。だって飲み代稼がなきゃならないものね。
小林:そう。怖かったよぉ(笑)
川本:でもそれ、勇気ですよね。
小林:お金はバイトで稼ぐ、チケットを友達に売ってそれで切り盛りするっていうのは「趣味」。まあ、人それぞれの考えあるから、その時代を経て劇団大きくして、それから売れるんだっていう人もいるし、それはそれで正しい事だと思う。でも僕は自分の事をこう決めた。
駄目なら野たれ死ぬだけ。才能ないんだったら自分は死ねばいいって。
川本:過激なフレーズですねー。
小林:だから、こうやって今生きてるのは、まがりなりにも一応才能があったんじゃないかって。
川本:才能があってよかった、顕作さん! 野たれ死にするとこだった(笑)。
(第2週に続く)
ゲスト・プロフィール 小林顕作(こばやし・けんさく)
1996年、ジャンルにこだわらず、舞台を形成していく演劇ユニット『宇宙レコード』(※レは丸囲みが正式)を、西村たけお・中村たかしとともに結成。同年、男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開するダンスカンパニー、コンドルズに立ち上げから参加。作品中のコント脚本を担当。客演も多数。現在、NHK教育『みいつけた!』(月~金曜日 午前 7:40~7:55、日曜版:午前7:25~7:55)オフロスキー役でレギュラー出演中。2012年2月にはコンドルズのイスラエル公演が決定している。
ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。
★お知らせ★
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時速246億vol.05『グレイトフルデッド』DVD絶賛発売中
【定価】¥4,500(税込)
【品番】NEBS-10001
【発売元】株式会社ティー ワイ エンタテインメント
【販売元】キングレコード株式会社
萩本企画HP http://www.hagimoto-kikaku.co.jp/
時速246億HP http://www.jisoku246.com/