連載

第1回ゲスト『小林顕作のオレ哲学』第3週

タレントでありながら舞台・役者・声優・ミュージシャン・プロデューサーとしてマルチに活躍の川本成(あさりど)さんがホストとなって、エンタメ業界のみなさまに聞く、「オレの哲学とは?」

 

 昨年12月から始まりました、対談連載「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。記念すべき第1回のゲストは、宇宙レコードやコンドルズでおなじみの小林顕作さん。2012年も、年をまたいで引き続き、小林さんの「オレ哲」をお伺いします!!(写真/下坂敦俊、構成・文/中村恵美)

COLUMN 2012 1/13 UPDATE

川本:宇宙レコードの、前回公演『ルーッドヴィッヒはダロワイヨの為に…ではヤンボヤンスキーは誰が為に?』の話で、ぜひ話したいことがあるんです。

小林:え、なになに?

川本:劇場は、明大前キッド・アイラック・アート・ホールでしたけど、舞台のアクティングスペースって1畳か2畳しかないよ!って感じでしたよね。

小林:えっと、3畳なかったです。2畳半くらい…かな。

川本:生活スペースとしても、それはかなりの狭い状態ですよ。3畳でパフォーマンスをするという…。路上パフォーマンスの方がまだ広いですよ。

小林:はい、広いです。

川本:あれはねぇ、最高だった!

小林:ほんと?

川本:最高! やっぱりエンタメって言うのは、放出する作業と受ける作業ってあるでしょ?

小林:うんうん。

川本:放出ってのはピッチャーだとすると、受けるってのはキャッチャーということなんだろうけど、人が芝居してる時にリアクションしてる、とかも受けですかね。やっぱ、年々受けの方が重要だな、と思ってくる訳ですよ。

放出する時も、つまり相手に投げかける時も、相手がどう思うだろうとか。とにかく、受ける作業をする人の事を考える。

まあ、それはいいんですけど、僕、この間の顕作さんの舞台で何が素敵だったかといえば、舞台の一番最後に、最も受ける人、つまり、お客さんの気持ちを歌にしたところでしたね。

小林:はいはい。

川本:狭いスペースで刀を振り回すから、刀自体の長さを短くしてる。振り回してお客さんに当たったりすると危険だからなんですよね。

小林:うん(笑)。

川本:『こういう狭いスペースで殺陣をやる時はああー、そのあたりを考えながらああーー、気をつけてやらないといけないということおお』みたく、そのこと自体をミュージカルにしてたでしょ。それを見てお客さんは拍手喝采! 

お客さんのことを常に考えているというか、ものすごいサービス精神を感じるんですよね。

小林:あぁ、どうなんですかね。そうだと嬉しいですけどね。

川本:おもてなしの心ですよ。いい旅館みたいな感じですよ。わかんないけど。

小林: (笑)。いい旅館ね。

川本:だって、お客さんって、「あっ、こんな狭いのに、剣振り回して怖い!」とか「あの人の目、突いちゃうんじゃないかしら」とか、そういうことに実は気をとられちゃうんですよ。

小林:なるほどね。

川本:俺自身も、芝居を観に行くと、「何であの人は前に出たんだろう」とか、「あそこのテーブルに本当にお茶が入ってるけど、端っこに置いちゃって大丈夫? こぼれないかな?」とか、そんなことが気になっちゃって芝居に集中できないんですよ。

顕作さんも、要は、そういう経験があるってことでしょ?

小林:それはいっぱいある。

川本:いやいや、それを形にしたってことでしょ(笑)

小林:まあ、あれは狭かったからやむを得ずだったんだけど(笑)。僕の中では、

あの狭いホールでやることに、メッセージも込めてるかな。

 いわゆる「動員をふやして、頑張って名前を広めなくっちゃ、舞台なんて簡単にはできないんだよ!」っていうんじゃなくて、「これくらいの小さなサイズの芝居なら、チケット代2500円で頑張れば、誰でもみんな作れるよ」って。だから、

みんなも、もうちょっとだけ頑張って作ってみたらいいんじゃない

っていう(笑)。

川本:ほんとだよね。それは思った。

小林:それを知ってもらうために、観に来てほしいって感じ。

川本:アイデアですよね。素っ裸でもアイデアは浮かぶってことですよね(笑)。

小林:うん、そう。

いかに金をかけないか

っていうテーマも込めてるね。

川本:だって、衣装、段ボールでしたもんね(笑)。

小林:(笑)。紙だよ、紙。

川本:しかもクシャクシャの段ボール(笑)。で、セットは紙チラシ。

小林:チラシ余っちゃったんだよね(笑)。で、使ったんだよね。

川本:素晴らしいです。

小林:そうね。

川本:来日2日目の、日本語がまったくわからないペルー人が見に来てもね、ちょっと笑うでしょうね。

小林:嬉しいね。

川本:ブロードウェイとか観に行くでしょ。カッコいいでしょ(笑)?まあ英語だから言ってる事ほぼわかんないんですけどね(笑)。でも、みんなそうだと思いますけど、なぜかいい役者は見てわかるんですよ。

小林:ああ、わかるんだ。

川本:結局、内容がわからなかろうが言葉分からなかろうが、こいついいってのは不思議と分かる。国境を越えるって事ですよ。そしてそれは大体サービス精神ですよね。

小林:それはわかる。俺も、20代中盤ごろにニューヨークで舞台を観て、日本にすごい欠けてるなって、いう部分を感じたから。向こうの作品って、とにかく誰がが見ても分かりやすい。その時よかったのは、「ブルーマン」「ストンプ」「デラガルーダ(ビーシャビーシャ)」の三つで、どれも、見て一発で面白い。

でもその裏側にものすごく緻密に考えられたアイデアが詰まっている。このアイデアを、「分かるところ」で観る側が「受ける」。そういうのを目指してるんだと思う。

川本:そういえば、コンドルズのフランス公演でしたっけ?

小林:うん。

川本:エマニエル夫人が出て来たっていう。

小林:(爆笑)そうそう。

川本:ウケたんでしょ?

小林:ウケた(笑)、超嬉しかった。やっぱりフランスに来たから、

フランスで一番、みんなが喜んでくれて、みんなが知ってる人といえば…、まぁ、エマニエル夫人?

 

川本:その選択!(笑)。

小林:日本で大フィーバーだったじゃん! エマニエル夫人、いまだにみんなわかるでしょ。それで、コンドルズの中での一番不細工な男に、段ボール製の藤の椅子にほとんど裸状態で座らせて、エマニエル夫人の設定で♪ラララ、ラララー、ってうたわせたら、まあ、みんな笑ってくれた(笑)。

フランス人が「ムフーッムフフーーッ!!」って、もうこらえきれない感じで超ウケた(笑)、笑わない感じの人たちで、がんばっても「フフッ」程度の客席だったのが、エマニエル夫人だと「ムフフーーッ!!」ってなってる。その状況を見て、もう「やったぁ!」って、ガッツポーズですよ!

川本:最高です。

小林:うん。

川本:たとえば、日本に変なイギリス人が来て、宮本武蔵の格好して、なんかパフォーマンスしてたらなんだか嬉しいですもんね。

小林:向こうが、文化の垣根を飛び越えてきてくれるっていう。それがサービスってことなのかもしれない。

川本:彼は、ただ、日本人を喜ばせたいと思ったんだな、ってわかるよね。

小林:「どうだ、すごいだろう」じゃなくて、「こうしたら喜んでくれますかね?」って気持ちが、なんか伝わるんだよね。

川本:そういうのって、世界共通なんだろうな。

 (第4週に続く)

 

 
ゲスト・プロフィール 小林顕作(こばやし・けんさく)

1996年、ジャンルにこだわらず、舞台を形成していく演劇ユニット『宇宙レコード』(※レは丸囲みが正式)を、西村たけお・中村たかしとともに結成。同年、男性のみ学ラン姿でダンス・映像・コントなどを展開するダンスカンパニー、コンドルズに立ち上げから参加。作品中のコント脚本を担当。客演も多数。現在、NHK教育『みいつけた!』(月~金曜日 午前 7:40~7:55、日曜版:午前7:25~7:55)オフロスキー役でレギュラー出演中。2012年2月にはコンドルズのイスラエル公演が決定している。

 

ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)

欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。 

★お知らせ★その1

 川本成さん出演舞台のおしらせです!

SUGARBOY「Fruits」

日程:2012年2月8日(水)~19(日)
会場:下北沢・小劇場楽園
脚本・演出:川尻恵太
出演:今立進(エレキコミック)・鬼束道歩・川本成(時速246億)・高橋良輔・民本しょうこ・辻本耕志(フラミンゴ)・宮下雄也(RUN&GUN)・諸岡立身(トーキョーハイライト)
チケット:前売/予約:¥4,000 当日:¥4500 <発売中>
チケット予約・お問合せ:http://sugarboy.jp/

 
★お知らせ★その2

川本さんが主宰している、時速246億の第5回公演『グレイトフルデッド』のDVDが、2011年11月30日(水)に発売となりました! 劇場の興奮と臨場感をご家庭で味わえます。この機会に、ぜひお求めください。アニメイト他、CDショップなどで取り扱っておりますので、お問合せ下さい。

時速246億vol.05『グレイトフルデッド』DVD絶賛発売中
【定価】¥4,500(税込)
【品番】NEBS-10001
【発売元】株式会社ティー ワイ エンタテインメント
【販売元】キングレコード株式会社
萩本企画HP http://www.hagimoto-kikaku.co.jp/
時速246億HP http://www.jisoku246.com/

 

 

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