連載

第6回ゲスト『清水宏のオレ哲学』第2週

タレントで、舞台・役者・声優・ミュージシャン・プロデューサーとしてマルチに活躍の川本成(あさりど)さんがホストとなって、エンタメ業界のみなさまに聞く、「オレの哲学とは?」。
連載対談「川本成のオレ哲学」(略してオレ哲)。第5回目のゲストは、役者・コメディアン・演出家の清水宏さんです。エジンバラ・フェスティバルで達成した、清水さんの世界的な快挙とは!?(撮影/熊谷仁男 構成・文/中村恵美)

COLUMN 2013 2/18 UPDATE

川本:清水さんは、いつから英語でやろうと?

清水:一番最初から、思ってたんだよね。
山の手事情社にいた頃、これから何やって行こうと思ってたとき、NYに行ったことがあっんだよね。そしたら、そこで、スタンダップコメディーをやっていて。やってたことはわからなかったけど、なんか面白かったんだよね。言葉の発し方からなにから。それを見てやってみようかと思った。

川本:ほう。

清水:ただ、そのころはまだ20代だったし、自分なりの喋り方が見つかってなくてね。でも、だんだんおじさんになってきて、生活感が出てきて、それに伴って徐々にうまくなってきて、説得力がでてきた。

川本:おじさんの説得力(笑)。

清水:構造がスタンダップコメディーのようにアメリカ的だとしても、そこに

日本人のおじさんの生活感が加わってる

んだよね。

川本:清水さんのやってることって、落語的でしょ。再現してるし。

清水:それもある。実はね、春風亭昇太さんの落語の出だしを見て、「面白いなぁー、俺もやろう」って思ってね。それで、一緒にやらせてもらったことがあるんだけど、その影響もあるかもね。

川本:僕はね、前々から、スタンダップコメディー自体が、落語的だなぁって思ってたんですよ。立ってるか座ってるかの違いで。演じて、再現するじゃないですか。言葉じゃなくても、演技でわからせたり。

清水

演じ分けっていうのは、世界のどこにでも通用する

普遍的なものなんだよね。落語を演じた経験がよかったんだろうね。それは、英語でやってるっていうより、日本の文化の影響かもしれないね。

川本:ある種の現代落語の、もっと違う形、とでも言うべきですか。

清水:落語やら何やらいろいろやってますからねー。影響受けたものはいっぱいありますよ。

川本:エジンバラに1カ月いて、そのとき、取材も受けたんですよね。

清水:いろいろありましたよー。去年、日本に帰ってきてから、そのあとにレビューが出たんですよ。

川本:へぇー。

清水:滞在しているときに出てくれればいいのにね、そうじゃなくてね(笑)。それで、レビューに☆が付くんですよ。それが新聞に出る。「☆、3つです!」じゃないけどさ。

川本:はいはい(笑)。

清水

☆5つが最高で、そこで☆4つを取った

んですよ。

川本:すごいすごい。

清水:終わってからメールでお知らせが来てね。「なんで終わってからなんだ!」という感じだったけどね。

川本:いやー、すごいですよ。

清水:で、今年はそれ以上!を狙ってたんだけど、今回は☆3つだった(笑)。

川本:それでも、十分すごいじゃないですか。

清水:今回は、辛口レビューで有名なサイトで、☆3つだったんだけどね。ほら、オレ、4ツ星経験者だから(笑)。「なんだよ、3つかよ、ふざけんなよ」なんて言ってたら、コメディアン仲間から、「お前、何言ってんだよ!ここのレビューはものすごく辛口で有名で、☆1つも平気で出すとこだから。あんまり辛口なんで、落ち込んで去っちゃったやつもいるんだぞ。お前は昨日来たばかりで、数ある公演の中から生き残って、もう、このレビューに取り上げられて、しかも、☆3つはすごいことだ。ありがたいと思え!バカ」とか言われて。

川本:ありがたいと思え!バカ(笑)。

清水:それからさ、『タイムズ』でも取材されてさ。

川本:『タイムズ』! 超有名じゃないですか!!

清水オレはもう、とにかく多くの人に来てほしくってさ、マスコミにも宣伝してもらおうと、

自分で勝手にリリース作ってマスコミルームに頻繁に出入りしてた

わけ。

川本:うんうん。

清水:マスコミルームで、「えっと、ですね。…ジャパニーズコメディーです。えーと、でもジャパニーズじゃなくて、イングリッシュでやるんですよ~」とかあちこちに説明して回ってね。「もうわかったから」とか言われながら。

川本:(笑)。

清水:そしたら、しばらくすると、「なんか、『タイムズ』の記者が探してたよ」って言われたんだよね。で、メールも来てたので、「観に来てくれ」って返事出したら、「じゃ、観に行くよ」って来てくれて、そのあとインタビューしてくれたと。

川本:おおーーー。

清水:それが記事になって、なんと、『タイムズ』の見開きの4分の1ぐらい、オレの写真がドーン!

川本:ええーっ! すっげぇ(笑)!

清水:いっぱい写真撮ったんだけど、結局いつも日本でやってるウルトラマンみたいな、おなじみのポーズが使われました(笑)。

川本:そのポーズ、知ってる知ってる(笑)。

清水:記事の内容としてはね、「エジンバラ・フェスティバルには、もう成功物語、『エジンバラドリーム』というものはないのではないか。長い間このフェスティバルを観てきたが、今のフェスティバルは、外国から有名人を連れてきて、それを観客が観に来るというスタイルになってしまった」って言うような論調で、無名なものが有名になるような、夢を叶える場所ではなくなった、というような感じなんだよ。

川本:ほう。

清水:しかも、「オーストラリアの人気女性コメディアンのショーが客が入らない。むしろ、オレのほうが無料ってこともあって、お客が入ってる」って、その人は言ってたしね。フェスティバル自体の現状を問うというか。負の状況を記事にしたかったんだと思う。オーストラリアの彼女も、随分落ち込んでいたって言ってたし。

川本:ああ。

清水:だからきっと、オレの取材でも、そういう状況を嘆いているような話を期待したんだろうね。

川本:ほうほう。

清水:ところが、

オレはまったく落ち込んでない

から、拍子抜けしたみたい。

川本:うん。

清水:で、俺の写真を大きく使って、その見出しは、

「底抜け楽観主義、現る!」

 

川本:(爆笑)「底抜け楽観主義!」

清水:「彼は、何でこんな元気なんだろう? でも、彼のショーはなぜか満員だ。結局は、底抜け楽観主義、それがいいってことなのだ」ってことらしい。

川本:(笑)。

清水:ちょうど、ロンドン・オリンピックのタイミングだったんだけど、オリンピックの記事でユニオンジャック振ってる人より、オレの写真のほうがでかいの。

川本:ははは!! オリンピックに勝った!(笑)。

(次週に続く)

 

ゲスト・プロフィール 清水宏(しみず・ひろし)  
愛知県出身。俳優であり、演出家であり、声優であり、コメディアン。本人曰く、演劇出身のテンション爆発芸人。早稲田大学演劇研究会を母体とした劇団「山の手事情社」出身。退団後、石井光三オフィス所属を経て現在はフリー。舞台、ラジオ、テレビなど、幅広いジャンルで活躍中。2011年、2012年連続でイギリスのエジンバラ・フリンジ・フェスティバルに参加。〈2011年4ツ星を獲得〉

ホスト・プロフィール 川本成(かわもと・なる)
欽ちゃん劇団1期生として在籍。1994年“あさりど”結成。主な出演番組としてTV『笑っていいとも!』9代目いいとも青年隊、『王様のブランチ』他、TV・ラジオ・舞台に多数出演。現在はTV『スタイルプラス』、ラジオ「絶滅寸前男子」、へのレギュラー出演や、アニメ『テニスの王子様』、『遊戯王デュエルモンスターズGX』、『GON』(2012年4月~)他で声優として活躍の場を広げ、舞台では『小堺クンのおすましでSHOW』、『冒険者たち』他、また自ら『時速246億』を主宰し、定期的かつ精力的に舞台をプロデュースしている。

 

 

★お知らせ★その1
清水宏さん出演舞台のお知らせです!
KAKUTA第23回公演『秘を以て成立とす』
日程:2013年3月1日(金)~10日(日)
劇場:シアタートラム
作・演出:桑原裕子
出演:[KAKUTA]成清正紀 若狭勝也 原扶貴子 高山奈央子 野澤爽子 佐賀野雅和 ヨウラマキ 桑原裕子 [GUEST]清水宏 藤本喜久子 瓜生和成(東京タンバリン) 吉見一豊(演劇集団円)
チケット:KAKUTAオフィシャルサイト・世田谷パブリックシアターチケットセンター・チケットぴあにて発売中
前売3,900円/当日4,200円/サービスデー3,300円(前売・当日共)/学生割引3,300円(劇団扱いのみ)
お問合せ:KAKUTA 090-6311-1996 info@kakuta.tv
http://www.kakuta.tv/hmss/

★お知らせ★その2
清水宏さん出演ライブのお知らせです!
清水宏のお笑いヨットスクール~新ネタ道場Vol.3
日にち:3月13日(水)
会場:新宿2丁目道楽亭Ryu’s Bar
出演:清水宏 しゃばぞう 居島一平(米粒写経) けいいちけいじ

詳しい情報は、清水宏オフィシャルブログをご覧下さい。http://ameblo.jp/hiroshimizuflamingcomedy/

★お知らせ★その3
川本成さん出演舞台のお知らせです!
劇団たいしゅう小説家×空飛ぶ猫☆魂「サヨナラ誘拐犯のパーフェクト・ストーリー」
日程:2013年2月20日(水)~24日(日)
劇場:萬劇場
脚本・演出:西永貴文
出演:太田基裕・山本涼介・長戸勝彦・岸潤一郎・西興一郎・佐々木光弘・小休暁・永田卓也・石井苗子・川本成
日替わりゲスト:20日(水)湯澤幸一郎 / 21日(木)昼・夜 粟島瑞丸 / 22日(金)川尻恵太 / 23日(土)昼 竹本孝之 / 23日(土)夜 水谷あつし / 24日(日)政岡泰志・小林健一
チケット:ローソンチケットにて発売中 ¥4,500
お問合せ:劇団たいしゅう小説家 03-3710-2370(平日11:00~19:00)

★お知らせ★その4
川本成さん出演ライブのお知らせです!
ナルウザクスダの!公開収録Vol.5
日時:2月28日(木)18:00開場 19:00開演
会場:阿佐ヶ谷ロフトA
出演:川本成・UZA・楠田敏之
チケット:ローソンチケット(Lコード:34695)にて発売中
前売・当日¥2,000(全席自由・整理番号付)*別途飲食代が必要となります

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