インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『みんな我が子』田島優成さん-part.1
アメリカの現代演劇の旗手、アーサー・ミラーの名作『みんな我が子』。この作品に、ベテラン俳優に混じって出演する注目の若手俳優、田島優成さん。公演を前に、作品のことや今の心境についてうかがいました。(写真/熊谷仁男、取材・文/湊屋一子)
INTERVIEW & SPECIAL 2011 11/26 UPDATE
1947年の上演で、トニー賞を受賞した『みんな我が子』が、本場ブロードウェイから招聘されたダニエル・カトナー氏の演出で、日本でも初めて上演される。若手俳優の田島優成さんにとって、この作品は新たなる演技への挑戦。壁は高い。だが乗り越えた時に、また新しい景色が見えると確信している。
「今回僕が演じるクリスは、長塚(京三)さん演じる父親と、麻実(れい)さん演じる母親の長男です。
弟は戦争に行ったまま帰ってこない。遺体も見つかっていないので、母親は弟が死んだことを認めていない。
クリスは弟の婚約者に恋をしていて、プロポーズしたいんだけど、クリスと彼女が婚約したら、母親は弟の死を認めなければならない。
そういうしがらみがあるから、ずっと我慢していたけど、クリスはそろそろけじめをつけて、先へ進みたい。そこで彼女を家に呼ぶんです。
そこから物語が始まる、わずか一日の出来事です」
芝居の中の時間の進み方は、リアルタイムに近い。ありふれた家族のありふれた一日を、舞台の上で本物にするには、緻密にリアルを積み上げていくしかないだろう。
この役は、あまり頭で作らずに、むしろ等身大で演じたい役。設定上、クリスは32歳。だが自分はまだどう頑張っても32歳には見えないだろう。
「でもクリスは32歳とは思えない、ものすごく純粋な面を持っているんです。
今、僕自身が抱えている、『これから僕の人生はどうなるんだろう』という悩みや、『こう生きたい』という思いの強さに、通じるものがすごくあります。
僕自身のそういう感情を使って演じようと思います」
田島さんの役作りは論理的だ。まず脚本全体から、この作品は何を言おうとしているのかを、客観的に捉える。
「よくサッカーに例えて考えるんです。
伝えたいことをゴールと考えると、登場人物はそのためのフォーメーションを作るはず。その中で自分が演じる役は、どのポジションなのか? 走り回って運動量の多いサイドバックか、中盤でパスを回すのか、どこでどう動けばゴールを狙えるのか、これだってものを見つけていきます。今回は先頭を走るフォワードですね。
お父さんとお母さんが中盤でしっかり試合を作ってくれたり、キーパーでしっかり守ってくれたりするので、そこに甘えて、守りに入らず、挑戦的に演じていきたいと思います」
(Part2に続く。次回は火曜更新です)
★プロフィール
田島優成(たじま・ゆうせい)
1987年8月27日生まれ。2006年デビュー。その後、ドラマでは2007年『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(CX)、2008年『ROOKIES-ルーキーズ-』(TBS)2010年『警視庁継続捜査班』(テレビ朝日)など、舞台は2009年『令嬢ジュリー』、『中国の不思議な役人』、2010年『ヘンリー六世』、『じゃじゃ馬馴らし』(共に蜷川幸雄演出)にと多数出演。本年も6~7月舞台『血の婚礼』にトランシーバー少年役という難役で出演、期待の若手俳優である。