インタビュー & 特集

INTERVIEW!ドラマ『MOZUスピンオフ 大杉探偵事務所~砕かれた過去編』浦井健治さん

2014年に連続TVドラマとしてスタート、11月7日より劇場版が上映中のビッグタイトル『MOZU』。TBSとWOWOWでは、香川照之演じる刑事・大杉良太を主軸に据えたスピンオフドラマ『大杉探偵事務所』が登場。WOWOWプライムで11月15日にオンエアされる「砕かれた過去編」で重要なカギを握る容疑者・佐藤恒吉役を演じた浦井健治さんに、見どころをうかがいました。(取材・文/千葉玲子 撮影/藤本礼奈)

INTERVIEW & SPECIAL 2015 11/10 UPDATE

_MG_4070――まず、出演が決まった時のお気持ちから聞かせてください。
もともと『MOZU』シリーズが大好きだったんですが、そのスピンオフに自分が呼んでいただける、羽住監督と組んでお仕事ができるということで、飛び上がるほど嬉しかったです。香川(照之)さんという憧れの先輩とご一緒できることへの喜びも大きかったです。香川さん演じる大杉がなぜ警察を辞めて探偵になったのか、スピンオフではその過去が描かれています。しかも僕が演じるのは、辞めた理由に深く関わっている役なので、非常に嬉しいですね。
――スピンオフドラマでは、大杉探偵事務所に持ち込まれた依頼を相棒・鳴宮啓介(伊藤淳史)と解決していく様子が描かれます。香川さんと収録でご一緒されていかがでしたか?
香川さんは、例えば収録がどんどん大変になってきた時、スタッフさん達が寡黙になったりする時でも、現場全体を明るい雰囲気に切り替えてくださったりします。マイナス思考に流されそうになる現場を、プラスの方向に変えていく。きっと香川さんはそれを意図的にやってらっしゃるのだと思ったので、先輩の背中の大きさを感じましたし、自分もそういうことができる役者になっていきたいと思いました。ロケの翌日にお会いすると、「日に焼けたんじゃない?」と共演者を気遣ってくださる、とても尊敬する先輩です。
_MG_4112――桐谷健太さんとも絡みの多い役ですね。
香川さんも桐谷さんも優しくて気さくな方です。3人のシーンを撮った時は、本当に夢のような空間にいるなと思いました。桐谷さんは年齢が近いこともあって、フレンドリーに話しかけてくださって。アクションシーンでもしっかりと打ち合わせをしたうえで、お互いに思いっ切りやれたかなと思います。
――連続ドラマに続いて、『MOZU』ならではの激しいアクションも見どころですね。
長時間雨降らしの中で桐谷さんと殴り合いのシーンを撮ったり、けっこうハードでしたね。でもそういう激しい場面をやれるのは嬉しかったりもします。デスノートの(夜神)月をやって(『デスノート The Musical』)、シェイクスピアをやって(ストレートプレイ『トロイラスとクレシダ』)、『MOZU』でぼっこぼこのアクションをやった後に、(ドラマ『ニーチェ先生』で)しがないコンビニ店員になる、っていう(笑)。もう、面白いな~と思いながらやらせていただいています。アクションとか厳しい場面の収録でも、『MOZU』のチームワークができあがっているので、その絆の熱さや温かさの中に自分が身を置けていることの喜びも感じます。

_MG_4088――今回演じた佐藤は、浦井さんからみてどんな人物ですか?
スーパーマーケットの防犯カメラに、たまたま佐藤が素の表情で映ってしまったというシーンがあります。その場面を撮る時に、監督から、「佐藤は普通の人のように歩けない、例えば手の動きはこうで…」と彼独特の、クセのある歩き方や手の仕草について説明がありました。それを聞いて、「あ、そうか」と。佐藤は一般的な生活ができない人なんだと感じた時に、じゃあ「佐藤にとっては何が生き甲斐だったんだろう?」って考えたんですね。ドラマを見ていただくとわかるのですが、クライマックスで佐藤の感情が爆発するシーンがあります。佐藤にしかわからない、生きている実感が爆発したときに、演じている自分も泣けてくるような一瞬があったんですね。その時に「あ、ようやく佐藤は生きられたんだな、人として」と。生きられたからこそ、とんでもない行動に走っちゃうわけですけど…。佐藤は人として理解しがたい人物なんだけれども、その中でも彼なりの、何かしらふつふつと湧いてくるものと闘いながら、生活をしていたのだろうと思います。
――こういう役を演じる時に、普段の生活に影響したり、あまり喋らなくなったりということはありましたか?
それはなかったですね。佐藤は人格が少し崩壊していると言ってもいいくらいの…大きな闇を抱えていたので、自分と切り離さないといけない役でした。現場でスイッチを入れるという感覚でやれたので、オンオフの切り替えができました。
――役作りはどういうところから入りましたか?
複雑な役なので…「こういうのどうかな?」「ああいうのどうかな?」とイメージをどんどん具現化して何パターンか用意していって、羽住監督に決めていただいて。自分がどう役作りするかよりも、現場での監督とのやりとりや相手役との関係性の中で作っていけたかなと思います。僕はどちらかと言うと、共演者やスタッフの熱に触発されて、現場でスイッチが入っていくタイプでもあるので。
――羽住監督と一緒にお仕事をしてみて、いかがでしたか?
とにかく、現場ではいつも笑顔でいらっしゃっていて、それは映像にも空気として出ていると思います。羽住監督がスタッフの信頼を一身に受けていることをすごく感じました。「もう一回!」と威圧的に場を仕切るんじゃなく「ごめんね、もう一回やっていい?」と言ってくださるんですが、自分が納得いかないところは何度も撮り直します。自分のビジョンは揺るがない、確固たる信念や強さを持っている方だからこそ、『MOZU』や『海猿』の世界、いわゆる無骨な男たちの生き様や格好良さを描ける、芯の太さを持った映像を撮れるんだろうなと思いました。

_MG_4149――昨年の『新解釈・日本史』と『アオイホノオ』、今年は『MOZU』に続いて『ニーチェ先生』と映像の仕事が続いていますが、ご自身に何か変化はありましたか?
僕自身に変化はないですが、知り合う方が増えていくということはあります。ミュージカルの稽古場ではお互いに違う役で再会することがよくあるんですが、ストレートプレイの現場にいくと、また違った役者さんやスタッフさん達と出会うことができます。映像の世界にいくと、さらに新しい出会いがありますよね。また次に別の舞台の現場に行って、以前一緒に仕事をした役者やスタッフと「お!また違う役で会えたね~」ということも増えてきていて。さまざまな作品に参加させていただけている、環境にすごく恵まれているなと。本当に有難いですね。
――2016年は『アルカディア』、『あわれ彼女は娼婦』、『王家の紋章』など大作への出演が続きますが、抱負や目標はありますか?
一つひとつ、やるのみです。今回ご一緒した香川さんもそうですが、本当に、ワンシーンごとに命を削って取り組まれている。その熱が共演者やスタッフにも伝わっていく。そういう見習うべき姿勢は、舞台役者も同じだと思います。僕もそんな役者を目指して、やっていけたらなと思います。参加させていただけることに感謝しながら、一つひとつやっていくのみです。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
羽住監督のもと、我々新たなキャストも加わって、『MOZU』を知らない視聴者の方にも、スピンオフ単体でも楽しんでいただけるドラマになっています。『MOZU』を知っている方には、より面白く、よりスリリングでハラハラワクワクして観ていただける、極上のエンターテインメントに仕上がっています。ちょっとだけ、映像に仕掛けがあります。具体的には言えないのですが、物語の面白さ以外の楽しみもありますので、ぜひご覧ください。

_MG_4207浦井健治(うらい・けんじ)
1981年生まれ、東京都出身。2000年『仮面ライダークウガ』敵の首領役で俳優デビュー。その後舞台へも活動の場を広げ、04年ミュージカル『エリザベート』ルドルフ皇太子役に抜擢。以降、ミュージカルからストレートプレイまで数々の話題作に出演。06年の初主演ミュージカル『アルジャーノンに花束を』では難役に挑み、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の演技とともに第31回菊田一夫演劇賞を受賞。09年シェイクスピアの大作歴史劇『ヘンリー六世』三部作ではタイトルロールを演じ、第44回紀伊國屋演劇賞個人賞と第17回読売演劇大賞杉村春子賞(ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』の演技とともに)を受賞。そして今年2月、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』(再演)と『星ノ数ホド』の演技に対して第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。演技力、歌唱力ともに高く評価されている。来年1月よりHuluにて配信される『ニーチェ先生』(脚本・監督:福田雄一)の松駒役(W主演)として出演が決まっている。

WOWOW×TBS共同制作ドラマ
『MOZUスピンオフ 大杉探偵事務所~砕かれた過去編』
放送:WOWOWプライム 11月15日(日)夜10:00~
出演:香川照之 伊藤淳史
/桐谷健太 早見あかり 浦井健治/西島秀俊
/杉咲花 堀内敦子 鶴見辰吾 馬場徹/吉田鋼太郎/小日向文世 ほか
監督:羽住英一郎
原作:逢坂剛(百舌シリーズ『百舌の叫ぶ夜』ほか/集英社文庫)
脚本:仁志光佑
音楽:菅野祐悟


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