インタビュー & 特集
INTERVIEW! 映画&舞台『真田十勇士』荒井敦史さん
9月11日に舞台が初日を迎え、22日より映画版も公開中の『真田十勇士』。両作品に三好伊三役で出演している荒井敦史さんにお話をうかがいました。(撮影/布川 航太 文/臼井祥子)
INTERVIEW & SPECIAL 2016 10/3 UPDATE
●『真田十勇士』の映画と、舞台の再演に、出演が決まった時はどう思われましたか?
舞台の初演は映像資料でしか観ていないのですが、すごく動いているなと思いました。同じ日本テレビさん製作の舞台の『里見八犬伝』に出演した時もすごく動いた記憶があるんですが、「真田はその倍は動くからね」と言われて、まあそうおっしゃるなら相当大変なんだろうなと覚悟しました。
●初日を迎えるのは舞台が先ですが、撮影は映画が先ですね。
去年の12月にクランクインして、今年2月の頭ぐらいまで撮影していました。僕は撮影期間の最初のほうから終わり頃までいて、千葉、茨城、大阪、和歌山と、全部のロケ地に行きました。ロケで一番大変だったのは馬と併走したことですね。天の声(堤 幸彦監督の指示)が「馬と走れ」で(笑)。
僕らは馬には乗らないんです(笑)。馬と一緒に荒地をひたすらダッシュしました。実際に経験しないと想像つかないと思うんですけど、ものすごく大変なんですよ。でもそのつらさが当たり前の現場でした。それと寒さと暑さも大変でしたね。
●冬なのに、暑さもですか?
セットの中で、城が炎上する場面を撮影したんですが、下から燃やしているから下も暑いし、セット内で熱が逃げないから上のほうも暑い。暑さで照明が2台壊れたんですよ。その中で、僕はカツラを着け、衣装を4枚くらい重ね着した上から甲冑を身に着けていまして、だんだん自分が生きている気がしなくなってくる。燃やしているからススがすごいんですよ。1時間もいると鼻をかむと真っ黒になるし、スタッフさんは全員マスクをしているんですが、そのマスクも真っ黒。そのうち咳が止まらなくなってきて、地獄のようで、もうだめだ…!となって外に出たら、めちゃくちゃ寒いんですよ!!! もう、てんやわんやでした(笑)。海岸で撮影した時は海風で砂埃が舞う中で殺陣をしましたし、そういう経験を思いだすと、あれに比べれば舞台は大丈夫なんじゃないかって思います(笑)。
●確かに、舞台では砂埃は舞わないですね。
ただ、疲労との戦いはありますね。(公演回数が)49ステージあると、体力的なきつさはあると思いますし、堤さんにも「覚悟をしとけよ」と言われています。それに負けないように、頑張っていきたいです。
●映画は撮り直しができますが、舞台はそれができません。アクシデントには強いほうですか?
僕、失敗とかってあんまり気にしないほうなんです。伝わればいい、(セリフを)噛んだからなんだよって思ってます。噛んだからってそのセリフが伝わらないわけじゃないじゃないですか。だから失敗は恐れていないんです。失敗したからって、「ああ、だめだ」ってその後の芝居を諦めることのほうがお客様に失礼だから。
●それでは、映画と舞台で、演じる上でどんな違いがありますか?
たとえば殺陣は、映画ではシーンによっては本当に相手に当てるんですけど、舞台では当てないです。だからこそ舞台では大きく演じる必要があるかもしれません。逆に映画の場合はより繊細にリアルにやる必要があると思います。舞台では殺陣の中でそれなりに嘘をつくができる。映画はそれが難しい。でも、本質的には映画も舞台も変わらないです。特に『真田十勇士』のキャストは、あまりそういう違いを考えずに、どちらも同じ真剣さで取り組んでいる気がします。
撮影中はほとんど毎日みんなでごはんを食べに行ってました。(望月)歩とかは、焼肉を食べておなかいっぱいになって(加藤)雅也さんの膝で寝ちゃうんですよ。本当によく寝るんです、15歳は(笑)。いつも一緒にいたのは、(駿河)太郎さん。兄弟の役なんです。よく関西弁のイントネーションを教えていただきました。もちろん自分でちゃんと勉強してから行ったんですが、うまくできていないところがあると「あれはちょっと違うよ。もっとこうしたほうがいい」と兄のようにアドバイスしてくれました。みんなで寒空の下で凍えながら、焚き火にあたってひたすらふざけたことばかり言っていた、楽しい現場でした。
●そのメンバーと舞台でも共演します。
映画版に出ている人、舞台版の初演にも出ている人、今度の舞台から参加する人。いろんなキャストがいますが、新しい舞台『真田十勇士』を作るんだという意気込みは共通で持っています。僕も舞台版の新キャストとして、臆することなくやれたらいいなと思っています。何よりも観にきてくださったお客様に満足していただける作品にしたいです。初演もあって映画もあるからこそ、再演はグレードアップして過去を越えていかないといけない。ハードルを上げて来てくださっても大丈夫なように、一生懸命演じ切りたいです。そして映画は、本当にすごい映像になっていると思いますので、ぜひ楽しみに観にきてください。
INTERVIEW! 映画&舞台『真田十勇士』中村勘九郎さんのインタビュー
《プロフィール》
荒井敦史
1993年5月23日生まれ、埼玉県出身。
ドラマ『GTO』、映画『メサイア』(主演)、『リアル鬼ごっこ4』(主演)、『アントキノイノチ』、『悪の教典』、『ガチバン TRIBAL』(主演)、『ズタボロ』、舞台『十二夜』、『コンダーさんの恋』、『里見八犬伝』、『新・幕末純情伝』など多方面で活躍している。2017年2月には舞台『柔道少年』の出演も決定している。
《公演・公開情報》
スペクタクル時代劇『真田十勇士』
[東京]9月11日(日)〜10月3日(月) 新国立劇場 中劇場
[横浜]10月8日(土)~10月10日(月・祝) KAAT神奈川芸術劇場
[兵庫]10月14日(金)~10月23日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
劇作・脚本:マキノノゾミ
演出:堤幸彦
出演:中村勘九郎 加藤和樹 篠田麻里子 高橋光臣 村井良大 駿河太郎 荒井敦史 栗山航 望月歩 青木健 丸山敦史 石垣佑磨 山口馬木也 加藤雅也 浅野ゆう子 他
映画『真田十勇士』
9月22日(木)より全国ロードショー
監督:堤幸彦
脚本:マキノノゾミ 鈴木哲也
出演:中村勘九郎 松坂桃李 大島優子 永山絢斗 高橋光臣 駿河太郎 村井良大 荒井敦史望月歩 青木健 石垣佑磨 加藤和樹 伊武雅刀 佐藤二朗 野添義弘 松平健 加藤雅也 大竹しのぶ 他