インタビュー & 特集
SPECIAL!『ミュージカル「黒執事」〜NOAH’S ARK CIRCUS〜』公演レポート
2006年の連載開始から現在までに単行本23巻を発売、アニメ化もされ大きな支持を集めている『黒執事』。19世紀後半・ヴィクトリア朝時代の英国を舞台に、ギャグやアクションもふんだんに盛り込まれたミステリアス・ゴシック・エンターテイメントです。昨年の『ミュージカル「黒執事」—地に燃えるリコリス2015—』に続き古川雄大さんがセバスチャン・ミカエリス役で主演、現在TOKYO DOME CITY HALLにて上演中です。(取材・文/文月カナ)
INTERVIEW & SPECIAL 2016 11/24 UPDATE
19世紀の英国、ヴィクトリア女王の〈裏〉の仕事を請け負う〈悪の貴族〉ファントムハイヴ家。若き当主シエル・ファントムハイヴに仕える万能執事セバスチャン・ミカエリスは、実は悪魔。シエルとの契約によって彼の影となり、共に裏社会の事件を闇で始末しています。ある日女王からシエルに下された命は、移動式サーカス「ノアの方舟サーカス」が訪れる先々で起こっている子どもたちの行方不明事件を解決すること。事件の真相を探るべく、サーカス団に潜入したふたり。彼らがたどり着いた真実は……。
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悪魔で執事であるセバスチャンを演じる古川雄大さんは、“人ならざる者”としての佇まいを見事に具現化。執事としてシエルに接する際の忠実でありながら時にからかうような、どこかとぼけた風情さえある言動と、悪魔としての本性を露にした際の底知れぬ闇をうかがわせつつも艶やかな風情とのギャップが、なんとも魅力的。堂々とした主演ぶりで空間を支配しています。
今回初めてシエルを演じている内川蓮生さんも、〈女王の番犬〉であるファントムハイヴ家を統べる者としての矜持と復讐に燃える少年としての思い、そして「ノアの方舟サーカス」の真実を知った後に見せる激情と、さまざまな感情をしっかりと表現。ステージの上で、シエルとして生きていることが感じられました。
そして、今作の要となるサーカス団のジョーカーを演じている三浦涼介さんも華やかな立ち姿と繊細な演技、感情を巧みに乗せた歌声と、三拍子揃った好演を見せています。特に真実を知ったセバスチャンとシエルがその場を去った後のソロは、ジョーカーの思いを訴える説得力にあふれたもの。思わず胸にこみあげてくるものがありました。
またサーカス団の団員たちもそれぞれの役柄や身体能力を活かして、観る者を惹き付けます。特に一輪車世界大会優勝者のダガー役・三津谷亮さん、アクロバットダンス・カンパニー「G-Rockets」のメンバーであるピーター役・倉知あゆかさんとウェンディ役・知念紗耶さんは、一輪車やエアリアルでのダイナミックな動きがお見事。まさに一見の価値あり、です。
ファントムハイヴ家の使用人トリオ(バルドロイ役・鷲尾昇さん、フィニアン役・河原田巧也さん、メイリン役・坂田しおりさん)やインドの王子&執事コンビ(ソーマ役・陳内将さん、アグニ役・TAKUYAさん)がコミカルなパートも存分に楽しませつつ、人間の闇をのぞかせる狂気的なパートはケルヴィン男爵役・小手伸也さんや先生役・姜暢雄さんが十二分に表現。スネーク役・玉城裕規さんとビースト役・田野アサミさんも、それぞれの持ち味を活かして魅力的に役柄を創りあげています。『黒執事』世界には欠かせない存在といえる死神ウィル役・輝馬さんと葬儀屋役・和泉宗兵さんも、もはや揺るぎない安定感で舞台を支えている、と言えるでしょう。
19世紀のロンドンへと観る者を引き込む『ミュージカル「黒執事」』は、11月27日までTOKYO DOME CITY HALLで上演中。当日券は各公演、開演1時間前より受付にて販売しています。詳細は公式サイトhttp://www.namashitsuji.jp/でご確認ください。
【公演情報】
『ミュージカル「黒執事」〜NOAH’S ARK CIRCUS〜』
[東京]11月18日(金)〜27日(日)TOKYO DOME CITY HALL
[福岡]12月3日(土)〜4日(日)キャナルシティ劇場
[兵庫]12月9日(金)〜11日(日)あましんアルカイックホール
[愛知]12月17日(土)〜18日(日)刈谷市総合文化センターアイリス大ホール
原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
脚本:竜崎だいち/毛利亘宏
演出:毛利亘宏
出演:古川雄大/内川蓮生/玉城裕規 田野アサミ 三津谷亮/輝馬/陳内将 TAKUYA(CROSS GENE)/鷲尾昇 河原田巧也 坂田しおり/和泉宗兵 髙木俊 寺山武志/設楽銀河 倉知あゆか(G-Rockets) 知念紗耶(G-Rockets) 後藤剛範/小手伸也 姜暢雄/三浦涼介 ほか
©2016枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト