インタビュー & 特集

INTERVIEW!ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』霧矢大夢さん

ティム・バートンの同名映画をもとに、2013年にブロードウェイで上演されたミュージカル『ビッグ・フィッシュ』。白井晃演出のもと、主人公・エドワード役に川平慈英、息子・ウィル役に浦井健治ほか絶妙なキャスティングで幕を開ける日本初演で、妻・サンドラに扮するのは霧矢大夢。エドワードを看取る妻であり、ウィルの母でもあるサンドラ役に挑む心境を語ってくれた。(取材・文/長谷川あや、撮影/増田慶)

INTERVIEW & SPECIAL 2017 1/24 UPDATE

大好きなティム・バートン作品の日本初演

──もともと本作の映画がお好きで、DVDもお持ちだとか。
 はい、ティム・バートン監督の作品は大好きで、映画が公開されると必ず観ています。いい意味で他のバートン作品と毛色が異なるこの作品は特に印象的でした。芸術的な彼ならではの脚色されたストーリーが面白くて、そしてハートフル。心地良い余韻に浸れる作品です。エドワードとサンドラのなんともいえない愛情もずっしりきます。そんな作品に、まさかサンドラ役で出演できるとは思ってもいませんでした。
──出演のお話が来たときはいかがでしたか。
 まず驚きました! 映画では、サンドラとエドワードは、年代ごとに二人の俳優さんが演じていますが、舞台では一人の俳優が演じます。一人の人間の長い人生を演じるのは、役者としてとてもやりがいがあること。この作品では若い頃と大人になってからを、場面ごとに何度も行き来するのですが、若い頃はよりかわいくらしく(笑)、大人になってからはよりしっとりと演じたいですね。
 実は私、サンドラのような献身的な妻の役をやらせていただくのは初めてなんです! 自分でもどうなるか、わくわくしています。長年男役をさせていただいてきたルーツがあり、普通の女性以上に包容力はあると自負しているので(笑)、そこはぜひ生かしたいですね。
──日本初演の作品で、ヒロインを演じるということに関してはどのような思いをお持ちですか。
 プレッシャーはありますが、うれしい気持ちのほうが大きいですね。私はこれまで、『マイ・フェア・レディ』や『ラ・マンチャの男』など、日本初演から長い歴史があり、宝塚の大先輩が演じていた役柄を引き継いで演じさせていただく機会に恵まれてきました。お手本の方がいらっしゃる、すでに完成された作品や役柄を、自分でかみくだいて作りあげていく作業もとてもやりがいがありますが、今回は日本初演ということでゼロから作りあげていく作業も新鮮です。初演の作品に出演させていただくのはちょっとした夢だったので、今回、お声をかけていただいて本当にうれしかったですね。まだ誰もやったことのない役を、私が作っていくんだという喜びもあります。

サンドラは大地のような愛情を持つ女性

──まだ稽古が始まってない段階ですが、今の時点でどんなふうにサンドラを演じたいですか。また、サンドラのエドワードに対する愛情についてはどのように解釈していますか。
 映画をご覧になった方はわかると思うのですが、時間が止まってしまうような出会いのシーンやロマンチックなプロポーズをされるシーンがあるんですよね。この年齢になってまさかこんなシーンをやらせていただくことになるとは! 自分がその世代になりきれるかちょっと心配な面もありますが……(笑)。黄色い水仙の花で埋め尽くされた、映画のプロポーズシーンはとても印象的で私も大好きなシーンですが、演出の白井晃さんは、あえてブロードウェイの舞台版の映像は観ないようにしているとおっしゃっていました。白井さん演出の舞台版の『ビッグ・フィッシュ』ではどのように表現されるか、ぜひ楽しみにしていてください。
 ぐいぐいと人生を切り拓くエドワードは、今主流の草食男子とは正反対(笑)。ある意味、理想のキャラクターとして描かれていますが、夢見がちな男性の家族が苦労するというのは容易に想像がつきます。映画でも(エドワードは)出張が多くてあまり家にいない設定ですし、サンドラは夫が留守にしている間も子育てなど家のことを一人で頑張ってきたのでしょう。それでもエドワードとサンドラは深い愛でつながっています。その夫を看取ることと、夫と息子との微妙な関係など、母として、妻として、女性としてすべてのことを受け止める──、サンドラについてはそんな大地のような愛情を持った女性だと解釈しています。映画のジェシカ・ラングのサンドラからは、ただ頬笑み、寄り添っているだけで、多くは語らなくても深い愛が伝わってきました。そういう表現もできたらな、と考えています。

※このインタビューの続きは、発売中の雑誌『omoshii mag vol.8』でお読みいただけます。
別バージョンのお写真・ロングインタビューを掲載中!
→『omoshii mag vol.8』詳細はこちら
2016-1101_1080_B
きりや・ひろむ
1974年生まれ、大阪府出身。94年宝塚歌劇団入団。第64回文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞。2010年月組トップスターに就任。12年に宝塚歌劇団を退団後は、『マイ・フェア・レディ』『オーシャンズ11』『I DO! I DO!』(第22回読売演劇大賞優秀女優賞受賞)、『ラ・マンチャの男』『レミング』など多彩なミュージカル作品へ出演している。アルバム『The Gentlewoman』のリリース、コンサート活動のほか、16年4月には一人芝居『THE LAST FLAPPER』に挑戦するなど幅広く活躍中。

ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
2017年2月7日(火)~28日(火)日生劇場
脚本:ジョン・オーガスト
音楽・詞:アンドリュー・リッパ
演出:白井晃
出演:川平慈英、浦井健治、霧矢大夢、赤根那奈
藤井隆、JKim、深水元基、鈴木福/りょうた(Wキャスト)、鈴木蘭々、ROLLY ほか
原作はダニエル・ウォレスのベストセラー小説。巧みな話術で自らの人生を奇想天外に語る父・エドワードと息子・ウィルとの確執と和解、妻・サンドラとの愛を描いた同作は、2003年に、色彩の豊かさと独特の世界観で世界中にファンを持つ鬼才ティム・バートンによって映画化され、日本でも大ヒットを博した。2013年にはブロードウェイでミュージカル版が上演。日本での上演は今回が初となり、演出は、『ロンドン版 ショーシャンクの空に』『アダムス・ファミリー』『No.9-不滅の旋律-』『マハゴニー市の興亡』などの話題作を手がけてきた白井晃が担当する。


  • Google広告 記事下 468×60

  • banner_384

    banner_384
  • omoshii 13 申し込み

    omoshii 13 申し込み
  • omoshii12

    omoshii12
  • 川本成のオレ哲学

    川本成のオレ哲学
  • オモシィ会員登録

    オモシィ会員登録
  • Google広告 サブバー 200×200

  • バナーomo11_s

    バナーomo11_s
  • omo10_banner_small

    omo10_banner_small
  • omo9_small

    omo9_small
  • omo8_small

    omo8_small
  • お詫びと修正

    お詫びと修正
  • omo7_small

    omo7_small
  • オモシィマグ6

    オモシィマグ6
  • omoshii mag vol.5

    omoshii mag vol.5
  • mag4banner

    mag4banner
  • オモシィマグvol.3

    オモシィマグvol.3
  • MAG_BANNER

    MAG_BANNER
  • コンビニプリント

    コンビニプリント
  • omoshii mag

    omoshii mag
  • MAG2_RENSAI_BANNER

    MAG2_RENSAI_BANNER
  • anfan

    anfan
  • chess01

    chess01
  • banner_Elisabeth

    banner_Elisabeth
  • ロミオとジュリエット

    ロミオとジュリエット
  • 公演情報登録

    公演情報登録
  • Sparkle

    Sparkle
  • アプローズ

    アプローズ
  • イープラス

    チケット購入はこちらから!
  • 突撃!アヒル感激日記

    突撃!アヒル感激日記
  • 劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

    劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録
  • 大原薫 There’s only here

    大原薫 There's only here