インタビュー & 特集

『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』公開稽古レポート

 3月6日、Rock Musical5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』の公開稽古が行われました。(取材・文/臼井祥子)

INTERVIEW & SPECIAL 2018 3/24 UPDATE

Rock Musical5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』は6人のキャストで演じる現代版『ロミオとジュリエット』。脚本・作詞・演出を石丸さち子さん、音楽を和田俊輔さんが手掛けます。

<あらすじ>

2018年、辺境のための経済復興特別区【グラント】に“ライン”が引かれた。
【デルヒ】と【ゼムリャ】に分かれた二つの街の対立は、驚くべき速さで激化していく。
【デルヒ】のハワル(東啓介)はある日、友人のポドフ(柳下大)、ナウチ(中山義紘)らと、ゼムリャの祭りにもぐり込めることになった。“ライン”上に暮らす女・ドゥーシャ(マルシア)の導きで。
そこで、リェータ(豊原江理佳)とハワルは瞬く間に恋に落ちる。しかし、リェータの兄シーラ(大山真志)は、ゼムリャの血と種を守る民族運動の若きリーダーだった。
転がるように恋しあうハワルとリェータであったが、血気にはやるシーラとポドフが衝突し、二人は引き裂かれていく。街の争い、人々の争いの中、愛を知った二つの命が選ぶ道は……。

(プレスリリースより)

 稽古は6人で歌うシーンからスタート。ハワル(東啓介)とポドフ(柳下大)、ナウチ(中山義紘)がドゥーシャ(マルシア)の導きで、 ゼムリャの祭りに潜り込む場面、祭りで演説するシーラ(大山真志)、ハワルとリェータ(豊原江理佳)が恋に落ちる場面など、物語序盤の印象的なシーンを披露してくれました。
「客電落ちてきます。中央にモニュメントが見えてくる」。
 スタッフが言葉で情景を描写すると、役者たちの顔つきがスッと変化。稽古2日目と思えないくらい、全員、歌もセリフもしっかりと入っていて、するすると気持ちよく物語の世界へ引き込まれていきました。
  ハワル、ポドフ、ナウチが「線を越えろ」と若者らしい素直な明るさと反発を歌い上げる一方、「線」の向こう、ゼムリャではシーラが民衆の対立を煽るような熱い演説を繰り広げていました。演じる大山さんの力強い歌声に、扇動される民の姿が目に浮かぶよう。
 ハワルとリェータが互いに恋に落ちる場面では、豊原さんの演じるリェータがかわいらしさの中に気の強さをひそませた、自立した女の子像を好演。東さんの演じる、無邪気な大型犬のようなハワルと小柄で芯の強いリェータとの組み合わせがとてもキュートで好印象。
 まだ一度も稽古をしたことがないという場面も見せてくれました。
 ドゥーシャが歌い、ハワルとリェータが見つめ合い互いに近づいていく場面。一度通した後、演出の石丸さんがドゥーシャ役のマルシアさんに「自分の中に、かつて激しい恋をした人と、母と、両方抱えていてほしい」とリクエスト。さらに東さんと豊原さんに、「手を触れ合うようなことをやっていて、この手を慈しんでいるところから始めて」「このセリフをものすごく大発見みたいに言ってほしい」と具体的にアドバイス。それを受けてもう一度同じシーンを演じると、前回よりもマルシアさんの歌に表情がつき、東さんと豊原さんの芝居が生き生きとしてきます。「今のセリフよかったよ」と石丸さんに褒められて、東さんはうれしそうな笑顔を見せていました。
 続いて、ハワルがポドフとナウチに、恋に落ちたことを語る場面を披露。テンション高く歌うハウルと戸惑う2人の姿に「かわいい!」と感想を口にした石丸さんは、どのタイミングで立ち上がってほしい、そのために椅子を引き気味にしていたほうがいい、など明確にパワフルに指示。そのシーンを再度演じると、説得力のある場面にブラッシュアップされていました。

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 公開稽古の後、囲み取材が行われました。東さんは「まだ稽古が始まって2日ですが、6人で演じる『ロミオとジュリエット』をどんどん作り上げていっているところです。本番ではものすごく新しいロミオとジュリエット』ができるのではないかと思っています。演出の石丸さちこさんと和田さんの素敵な音楽を含め、すごく素敵な『ロミオとジュリエット』になると期待していただいてかまいません。よろしくお願いします」と力強く宣言。「毎日ものすごいエネルギーとパッションで取り組んでいます。革命を起こしたいです」と豊原さん。柳下さんは「石丸さんはこの作品を通して世界を変えようとしているんじゃないかなと思います。僕たちもその熱量にのっかって、新しい演劇を作っていけたら」、中山さんは「(自分たちは)オリジナルミュージカルの初演キャストになるので、この6人でしか作れないものを作り上げて、この作品が残り続ければ素敵だなと思います。そういう演劇の力を信じて頑張りたい」、大山さんは「ミュージカルと芝居の垣根を越えた、その『線』をなくした作品になるんじゃないかと、今お稽古をしながら思っています」、マルシアさんは「この熱い皆さんの若いエネルギーを頂いて、突っ走っております。素晴らしい演出と、パワー、パッション、そして素晴らしい音楽。すべてが新しいです。みんなで本当に一つになって、お客様の心に残るような何かを届けられたらと思います」と、それぞれ意気込みを語りました。

 Rock Musical5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』は43日(火)から23日(月)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオにて上演されます。詳細は公式サイト(http://5days.westage.jpにてご確認ください。

 また、現在発売中のomoshii magvol.12には、ハワル役の東啓介さんとポドフ役の柳下大さんの対談を掲載中。そちらも合わせてお楽しみください。

 

 

 

 


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