インタビュー & 特集
omoshiiプレオープン企画「萩尾望都インタビュー」(後編)
現在、演劇&エンタメ系webマガジン『omoshii(オモシー)』のオープンを予定しています。演劇を中心に、”面白い”さまざまな情報をお届けする予定! そのオープンに先駆けて、萩尾望都先生のインタビューをこちらでご紹介します。
INTERVIEW & SPECIAL 2011 9/22 UPDATE
『11人いる!』舞台化記念
萩尾望都インタビュー (後編)
「デビュー40周年記念 原画展」が福岡アジア美術館で開催中の漫画家・萩尾望都先生。『ポーの一族』『トーマの心臓』『残酷な神が支配する』などで、漫画が持つ可能性を無限に押し広げ続けています。 インタビュー後編では、40年間の漫画家生活に焦点を当てて、萩尾先生に話をうかがいました。 (撮影/森口信之 取材・文/大原 薫)
「漫画家デビュー40周年記念 萩尾望都原画展」が各地で開催されていますが、40年を振り返ってみるといかがでしょう?
気が付いたら40年か、という感じですね。20歳のときにデビューしているので、「20かける2」のデビュー40年で還暦を迎えて、なんともキリがいいなと(笑)。今まで仕事があってよかったなー、しみじみ……(笑)。
「萩尾望都原画展」は東京、名古屋に続いて、福岡アジア美術館で開催中です。
はい、私は福岡出身ですので、福岡で開催できるのはとてもありがたいと思います。ぜひじっくり見てやってください。
原画展を拝見すると、一つ一つのコマが繊細に、また大胆に描かれているのが印象的です。40年間の作品を並べて展示すると、絵が徐々に変わっているのも感じました。
それは自分でもわかりますね。(デビュー作の)『ルルとミミ』はまだ線が固いですね。線の味がちゃんと出せるようになったのが『すきとおった銀の髪』(1972年)じゃないかな。自分が描きたいタイプの線があるんだけれど、ペンをうまくコントロールできなかったり思ったより細くなったりしたことが結構あったんです。でも、あるときから指の関節に全部脳が入っているみたいな感じで、思ったとおりの線が引けるようになったんです。
それはすごいお話ですね!
続けていれば何かいいことがあるなって(笑)。年を取ると筋力もなくなってくるし、『メッシュ』のころから腱鞘炎にかかって。それからはだましだましやっているところがありますね。
それでも積み重ねた技術が体に染みついていらっしゃるのではないかと。
漫画というのは流行表現だから、やっぱり絵が古くなってくるんです。昔のキャラクターは頭がでっかちで体が細い。バランスを少し変え始めたのが『メッシュ』のころですね。『マージナル』のころが身体バランスは一番きれいだと思います。絵に関しては自分のチェックが一番厳しいです(笑)。
そうしていらっしゃるから、ずっと漫画界の第一人者でいられるんですね。
いえ、ときどきチェックするだけで、普段は自分に甘いです(笑)。
今後のご活動は?
私がやれることは一つしかないから、これ(漫画)を続けていくのみです。
こんな作品を描きたいというのはありますか?
SFからちょっと離れているので、SFを描きたい。あと、今描いている『ここではない・どこか』のシリーズや猫の『レオくん』を続けていきたいですね。
『オイディプス』も漫画化されていますが、他にも演劇の名作を取り上げるご予定は?
それはいろいろとやってみたいですね。オイディプスの父ライオスの話も面白いんですよ。
●これからも様々な作品を期待しております。
手作業なので、続けるのが大変なのですが、体力がある限り、目が見える限り描いていこうと思います。皆様もお体を大切にして、頑張ってください。
●profile
萩尾望都(はぎお・もと)
『ルルとミミ』でデビュー。『11人いる!』『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞受賞。代表作は『トーマの心臓』『百億の昼と千億の夜』『残酷な神が支配する』など多数。2011年3月までデビュー40周年記念・萩尾望都原画展を開催。
●公演情報
舞台『11人いる!』
東京 2月5日〜2月28日 あうるすぽっと(公演終了)
愛知 3 月 19 日・20 日 名鉄ホール
大阪 3 月 26 日・27 日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト:http://www.studio-life.com/
●萩尾望都原画展
福岡 3 月 13 日まで 福岡アジア美術館