インタビュー & 特集
INTERVIEW! 『Shoes On!』川平慈英さん
2015年1月7日(水)~18日(日)銀座博品館劇場にて上演中の、『Shoes On!』。伝説の舞台の9年ぶりの復活に、出演者にしてスーパーバイザーの川平慈英さんにお話をうかがいました。(文/武田吏都、撮影/熊谷仁男)
INTERVIEW & SPECIAL 2015 1/14 UPDATE
――『Shoes On!』は2000~2006年のお正月恒例となっていた伝説のショーですが、9年間のブランクを経ての復活となります。このタイミングで復活となったいきさつは?
このショーの産みの親である福田(陽一郎)さんが亡くなって約5年経つんですけど、創設時からのコアメンバーがそれぞれお弟子さんをとるような位置になってきて。みんなが自分たちの領域で力強くアーティストとしてやっているのを見て、僕も52歳なので体が朽ちる前にと(笑)。福田さんからいただいた旗を振って僕がまたメンバーを集めて、より卓越されたみんなが再結集したらどんな化学変化があるのかなと思ったんですよね。それで、一緒に立ち上げた本間(憲一)と博品館の社長と食事してたときに「2015年『Shoes On!』やります!」って言っちゃって。「やりましょう」じゃなくて。ま、黒霧島の勢いもあったんだけど(笑)。でもみんな重鎮になりつつあったし、これ以上待っていたら、良くも悪くもネジが深くなって帰ってこられないんじゃないかなとも思ったんですよね。
――そもそも休止したのはどういう理由によるものだったんですか?
……僕なんです(苦笑)。自ら終止符を打ち、また自ら復活ののろしを上げたんですよ。前身の作品を入れると10年続いていて僕の中で当時ちょっとマンネリ化していて、それはみんなも同じだったと思う。だからヘンにぶら下がって続けるよりもいったん清算して、それぞれ枝分かれしようと。でもこれで終わりじゃない、いつか帰ってくるだろうと思っていました。9年前の最後のカーテンコールで「また戻ってきます」って言いましたから。
――慈英さんは今回キャスト兼、“スーパーバイザー”という肩書きがついてますね。
プッ(笑)、面白いよね。なんでも良かったんですけど、要は旗振り役であり、ムードメーカーであり、発想の着火剤であり。僕どうしても黙れなくて、相当鼻を突っ込んでいるみたいです(笑)。なんとなく一番やんちゃで「ああやりたい、こうやりたい」ってアイデアを出しているのが僕。それに対してみんなが「ジェイ、それは無理だよ」「ジェイ、それ面白いね、やろう!」ってなって、最終的に本間がまとめてくれる。でも僕も言うけどみんなもガンガン言ってくるから、福田さんの大変さがよくわかりました。僕たちのわがままを相当聞いて、最後は一人で責任をとってくれていましたから。
――そんなおなじみのメンバーに加え、フレッシュな初参加組も3人います。
HIDEBOHは仲間だったけど舞台上での共演は初めて。そりゃもう、彼の超絶タップが出てきますよ。その代わり、くっだらないコントにも参加してもらって、そこでは容赦なくいじり倒します!
――カッコいいだけでは終わらせないと(笑)。
ジョーーダンじゃないですよ! 彼には「ゲストじゃないからね、メンバーだからね」って言ってあります。『Shoes On!』のメンバーってことはもう芸人というか(笑)。吉井一肇くんは中3で、タップがすんごいんですよ。そして野田久美子さんも初参加。僕らも若い人たちの突き上げを食らわないと面白くないので、そういう人を探していたんです。でも歌と踊りとコメディセンスが備わった人ってなかなかいなくて、見つけるのは大変でした。世代交代というか、彼らに続けていってほしいなとも思っていて。だから僕らがヨボヨボになっても『Shoes On!』は続くだろうなと思っているんです。
――メンバーに『SHOW GIRL』での名コンビぶりも記憶に新しいシルビア・グラブさんがいらっしゃいますが、『SHOW GIRL』もオリジナルは福田さんの作品です。『SHOW GIRL』の初日を拝見したんですが、カーテンコールで慈英さんが少しの間、ステージの上方を見ていらっしゃったのが印象的で。天国の福田さんに話しかけているのかなと思ったんですけど……。
よく覚えてるなあ、やめてよー(照)。あのとき僕ちょっとキて、パッと横見たらシルビアも泣きそうになってて……。今回も一番観ていてほしいのは福田さんだし、やっぱり福田さんへのトリビュートになりますね。たぶん観てくれていると思うし、向こうでもきっと『Shoes On!』みたいなステージ作ってますよ。福田さんといえばマドラス帽がトレードマークだったんですけど、僕とフジ(藤浦功一)が形見にいただいたので、それを舞台上にちょっと置いておこうかと。
――9年のブランクを経て、今回どんな変化があるでしょうか?
以前は、The Tap Show『Shoes On!』だったんですけど、今回はタップを抜いて、The New Entertainment Show『Shoes On!』に。だから特にタップにはこだわっていなくてタップシューズを脱いだ演目もたくさんあります。だけどやっぱりおのずとタップ寄りになりました(笑)。僕らの中に福田DNAが確実に入っているので、「福田さんならこう言うだろうな」っていうのを再生している感じです。僕らは相当福田さんに鍛えられ、気がついたら引き出しをたくさんいただいていたんだなと。プラス、それぞれが違う現場で得たノウハウを集結しているから、相当肉厚なものになっています。
――エネルギッシュ、かつ大人のショーを期待しています!
大人の大人による大人のためのショーにしたいです。こういうものを待っているお客さんも多いと思うし、やっぱりそういうのがないと! だからちょっとビッグマウスだけど、ブロードウェイやウエストエンドに行く必要はないです、と言いたい。銀座に来れば、極上の大人のショーが観られます! ぜひ!
★★★川平慈英さんからのメッセージです★★★
The New Entertainment Show『Shoes On!』
2015年1月7日(水)~18日(日)銀座博品館劇場
2015年1月22日(木)大阪サンケイホールブリーゼ
企画・原案:福田陽一郎
演出:本間憲一 スーパーバイザー:川平慈英 振付:本間憲一/HIDEBOH
出演: 川平慈英 本間憲一 藤浦功一 平澤智 吉井一肇 HIDEBOH 北村岳子 シルビア・グラブ 野田久美子
かびら・じぇい●1962年、沖縄県生まれ。本業の俳優のほか、サッカー中継のナビゲーターとしても活躍中。楽天カードのインパクトのあるCMも印象的。舞台『Shoes On !』に出演後は、3月7日~ 29日パルコ劇場『趣味の部屋』に出演。