インタビュー & 特集
INTERVIEW! シアターBRAVA! 10周年記念シリーズ つながる音楽劇「麦ふみクーツェ」〜everything is symphony!!〜渡部豪太さん part.2
坪田譲治文学賞を受賞した、いしいしんじさんの傑作小説を映像×音楽×演劇で立体化。関西中心に活躍するウォーリー木下さんの脚本・演出、音楽家・トクマルシューゴさんの書き下ろし楽曲で新しい音楽劇を作り上げます。「観客はそれぞれ、一人が一個ずつなにか音の発するものを持参すること ※楽器はもちろん、おもちゃ、家事用具、日用品のたぐいでも可。ただしサイレンのみ禁止」と公式サイトやリーフレットに記載されているように、観客も一緒に音を鳴らして(!)参加できる作品とのこと。ユニークなステージに主演として臨む渡部豪太さんに、作品の魅力、意気込みを伺いました。(写真/熊谷仁男 文/片桐ユウ ヘアメイク/atsu.co スタイリスト/ume 衣装協力/BLUE TRICK)
INTERVIEW & SPECIAL 2015 4/9 UPDATE
(part.1より続く)
■“つながる音楽劇”という新しい試み
——観客参加型の音楽劇ということですが。
なかなか無いですよね。「音楽劇」自体、あまり馴染みはないと思います。自分自身、ミュージカルも音楽も好きですけど、よほど好きな人でも出ていない限り「音楽劇」を観に行くのは躊躇してしまう気がします。でも今回は原作の力に加え、トクマル(シューゴ)さんの音楽、ウォーリー木下さんの演出、そして素晴らしい役者陣が集まっているので。トクマルさんの音楽が名曲揃いなんですよ。今回のために全て書き下ろしてくださったのですが、かなり琴線に触れる音楽が用意されているので、我々もそれにしがみついている感じです。
ひとつの目標として「音楽劇って何?」と聞かれた人が「“麦ふみクーツェ”みたいな感じだよ」と答えるような、そんな舞台にしたいなと思っています。
——「劇場で舞台を鑑賞する」という枠だと思っていると、能動的になることに躊躇ってしまうというか、日本の観客は慣れていない気がします。
それはあると思います。嫌いなわけではなく、誰かがフロアに行けば行くんですよね。ただ最初の一人になるのは躊躇する。だから、我々プレイヤーが“一人目”になればいいのかなと思います。お客様に媚びを売るでもなく、強いるでもなく。そういった新しい場所を見付けなければいけないというところで、もしかしたら、その切り口のことを“音楽劇”というのかもしれない。
——「その新しい場所に行こう!」と観客が思いたくなる最大の要素は?
“初体験”というところじゃないでしょうか。それは舞台に立つ我々もそうなので。初体験の場にお互いドキドキしながら立ち会うというか。どの舞台においてもですが、公演ごとに客席のお客様は違いますし、特に今回はお客様が“能動的なもの”をひとつ持ってくるわけですよね。そうすると客席の数だけ全部違う。絶対、毎回違うものになるはずです。
——毎公演、新鮮な“初体験”が味わえるわけですね。
そうなると思います。でも我々は常に最高のものを用意して待つし、毎回客席の音が変わってもそれはそれで…(ちょうど、部屋の外から聞こえてきた工事現場の音を指して)ホラ、こうしていても外から音が聞こえているわけじゃないですか。でもここではこうして(インタビューという)ドラマが進んでいるわけだし。そういうことって日常でもあるんですよね。だから舞台も、今この場で起こっていることと同じだと思います。そういうことも含めて“ライブ”なんでしょうね。
——「音楽」から少し広げまして、好きな音、苦手な音はありますか?
苦手な音は、自転車の油が切れた音! ブレーキをうるさくかける人には整備不良で罰金を科して欲しいくらい(笑)。乗っている方はあまり聞こえていないんだと思いますが、いけないです、あれは。
好きな音はピアノですかね。ジャズのピアノが好き。ギターも好きですけど、ピアノは聞いていてビックリします。弾けないからことさら憧れる部分もあるのかもしれない。X-JAPANのYOSHIKIさんとか、感情が高まった時の人の声みたいな…聞いたことのないような音を奏でるんです。ライブで一度聞いてビックリしました。あとビル・エヴァンスとか、ケニー・ドリューとかも好きです。いい音は全部好き。
——幅広いですね。
そうですね。カフェに入って、良い曲がかかっていたらお店の方に「これ何の曲ですか?」と聞いたりもします。でも音楽の薦め方ってすごく難しい。いきなり「これ良かったから聞いてよ」と言われても、あまのじゃくなのでなかなかそれに手を伸ばさないタイプなんです(苦笑)。でも今回の音楽劇はその場に居て欲しいし、その場の音を聞いて欲しいですね。
——では、最後に改めて意気込みをお願いします。
すごい面子が集まってすごい音楽を作っています。ここでしか味わえないものがある、面白い音楽劇になります。観客の皆さんとの熱交換はとても大きいものになると思います。その熱はこの公演期間中のどこの劇場にも負けないくらいだと思うので、ぜひ。観に来ないとわりと損すると思います。
公演は4月10日(金)より東京・世田谷パブリックシアター、4月23日(木)より大阪・シアターBRAVA!にて行われます。
[プロフィール]
わたべ・ごうた
幼少時より芸能活動を始め、ドラマ、映画、舞台と多方面で活躍中。主な舞台に『夜は短し歩けよ乙女』『余命1ヶ月の花嫁』『ピンクスパイダー』『コーパス・クリスティ 聖骸』『愛の唄を歌おう』『ユーミン×帝劇 Yuming sings…「あなたがいたから私がいた」』などがある。
[公演情報]
つながる音楽劇「麦ふみクーツェ」~everything is symphony!!~
[東京]4月10日(金)~19日(日) 世田谷パブリックシアター
[大阪]4月23日(木)~26日(日) シアターBRAVA!
原作:いしいしんじ 『麦ふみクーツェ』 (新潮文庫刊、理論社刊)
脚本・演出:ウォーリー木下
音楽監督:トクマルシューゴ
出演:渡部豪太 皆本麻帆
朴 璐美 植本潤 木戸邑弥 小松利昌 田中利花 松尾貴史 / 尾藤イサオ
佐嶋宣美 ダンドイ舞莉花
有田杏子 牛尾茉由 岡田啓 小林うてな 斎藤彰子 田中馨 永滝元太郎
兵頭祐香 松延耕資 三浦千明 山本直輝 ヨース毛
熊谷和徳(映像出演)
公式サイト●http://theaterbrava.com/mugifumi/