インタビュー & 特集
SPECIAL!ロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』公演レポート
日本を代表する作詞家の森雪之丞が脚本、布袋寅泰が音楽を担当して話題を呼んだ2012年の舞台がフレッシュなキャスト陣を迎えて再演。小越勇輝が『テニミュ』卒業後に初出演することでも注目を集めているロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』をレポートします!(文/片桐ユウ、撮影/山平敦史、髙橋利行、熊谷仁男)
INTERVIEW & SPECIAL 2015 4/29 UPDATE
――人気急上昇中のロックバンド「サイケデリック・ペイン」のヴォーカル・詩音の前に現れた謎の美女ソフィ。自らを天使だというソフィは、毎夜詩音に「世界を救えるのはあなただけ。あなたが救世主です」と訴える。大天使ミカエルを復活させるための3つの鍵、その最後の鍵『救世主(メシア)の孤独』を、詩音が隠し持っているとソフィは語る。
バンドのギターを担当する魁人は、幼なじみの詩音を心配するが、詩音はバンドを辞めると言い出す。そしてバンドのメンバーは、ミカエル復活をめぐる“天使”と“悪魔”の争いに巻き込まれていく……。
冒頭から、小越勇輝さん演じる詩音がヴォーカルを務めるバンド「サイケデリック・ペイン」の生演奏がスタート。本当にこのメンバーでバンドを結成しているかのような安定感と、インパクト大の楽曲・歌詞で観客をグイグイと“ロック☆オペラ”に引き込んでいきます。
ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンを観てきた人なら、ロック・テイストの服装に身を包み、弾けるような演技でステージを駆け回る小越さんに驚くハズ。ハードな格好に反して、どうしようもない孤独感を抱え、謎の美女・ソフィへ真っ直ぐな愛を捧げるピュアな青年像がハマっていました。
詩音の幼なじみ・魁人を演じる桜田通さんは佇まいから完璧な「ギタリスト」。影のある表情と、詩音を気にかけるお兄ちゃん的な優しさ、そしてキーパーソンとしてクライマックスで爆発させる熱量に圧倒されます。
バンドメンバーもコメディセンスを大いに発揮。チーム力と男子力(?)を軽快に見せ、演奏の屋台骨としてもしっかりステージを支えていました。
ライヴ終了後の打ち上げシーンは、まさに楽屋の盛り上がりそのもの。本来は表のステージしか見られない客席も、彼らと一緒の風景にいるような気分にさせてくれる嬉しいシーンでした。
ソフィ役の七木奏音さんは透き通るような歌声と可憐さで、主人公を導くヒロインにピッタリ。魁人の恋人・リナを演じる佃井皆美さんも清々しく、キュート。男子たちの青春を支え、寄り添い、立ち回るヒロインたちの魅力も満載でした。
ダイナマイトな悪役サイドの迫力も必見。レディー・パンドラ/ミツコ役の玉置成実さんは変幻自在な歌声とコケティッシュな仕草全開で、虜になること間違いなし。キザーラ伯爵役の冨森ジャスティンさんと、クラッシュ役の林野健志さんも突き抜けた演技で悪魔側の役割をキッチリ担います。
Dr.鏡役の藤木孝さん、助手の天野役・山岸門人さん、バンドのマネージャー緑川玲子役の麻生かほ里さん、脇を固めるキャスト陣も濃いキャラクターを余裕たっぷりに魅せ、ストーリーを一層鮮やかに彩っていました。
アンコールはスタンディングOK! ライヴ会場さながらに爆音を響かせる「サイケデリック・ペイン」に応じるように、観客も“オーディエンス”に早変わり。
新演出は茅野イサムさん。ストレートな青春テイストとファンタジックな世界観を見事に融合させ、光の洪水がステージからこぼれ出しているかのような瑞々しい勢いにあふれた舞台を完成させていました。
本作は東京公演、福岡公演を終え、4月30日(木)~5月4日(月・祝)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでの公演を控えています。
「3都市ご観劇サンクス・ラリー」や、各会場に設置される「サイケデリック・ペイン」バンドメンバーの等身大パネル、スペシャルライブの開催、CD発売を記念した握手会など、イベントも盛りだくさん。
詳細は公式サイトまで。
http://www.psychedelicpain.jp