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スタジオライフ『PHANTOM 語られざりし物語~The Kiss Of Christine~』製作発表記者会見
『オペラ座の怪人』のファントムの真実の姿を描く物語がついに完結! スタジオライフ公演『PHANTOM 語られざりし物語~The Kiss Of Christine~』製作発表記者会見が9月13日、行われました。(撮影/Yukari Watanabe 取材・文/大原 薫)
NEWS & INFORMATION 2012 9/19 UPDATE
スーザン・ケイがガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』にインスパイアされて書いた小説『PHANTOM』をスタジオライフが日本初舞台化。原作の前半部分にあたる「オペラ座の怪人=エリックの幼少期」を描いた『PHANTOM THE UNTOLD STORY 語られざりし物語』は2011年6月に上演され、絶賛を博しました。会見はそのダイジェスト舞台映像上映からスタート。司会を担当した曽世海司さんが映像を見て「去年僕たちが作った空気感を感じて、司会業をまっとうできないくらい揺れ動いてしまいました(笑)」と語るほどで、迫真の映像からも前回公演の質の高さが伺えました。
続いて、スタジオライフ代表の河内喜一朗さんがご挨拶。
「今年、ロンドンで原作者のスーザン・ケイさんとお会いすることができた。『PHANTOM』のスターティングポイントは、ガストン・ルルーの原作の最後の3ページに興味を持ったことだと伺いました。謎のペルシャ人は何なのか、クリスティーヌはなぜエリックにキスをしたのか、この二つのシークエンスを中核に舞台化していきたい」
脚本・演出の倉田淳さんは「悪魔の顔と天使の声を持つエリックがついにオペラ座にたどりつきます」と舞台化に興奮が隠せない様子。
「初めて原作を読んだのが10年前、ずっとやりたかった作品です。あまりにも壮大なドラマでなかなか舞台化することができなかった。しかし、スタジオライフ25周年を機に思い切ってチャレンジすることにしたんです」
『PHANTOM』はスピルバーグが映像化のオファーをしたけれども、実現しなかったほどの難作品。
倉田さんが『レ・ミゼラブル』新演出版を観劇して、映像と美術を舞台に融合させたマット・キンリーさんの舞台美術に一目ぼれして「ぜひ、マットさんに『PHANTOM』の舞台美術を」と依頼。マットさんの舞台装置と映像にニック・シモンズさんの照明が組み合わさって、映像と俳優がフィーチャーするという今までにない舞台が実現した、というエピソードも披露されました。
今回の公演では、華やかなオペラ座のシーンが舞台上で再現されることも見どころの一つになるそうです。
「スーザン・ケイさんが“『PHANTOM』は成長の物語と思っています。どうしようもない現実と向き合わざるを得なくなったときに、自分の気持ちに対処していくか。それぞれがどうにもならない現実を抱えていろんなことに出会い、変わっていくという物語なんです”とおっしゃっていました。私もそこに照準を合わせてやっていたので、それを伺って嬉しかったです」
そして、主要キャストが意気込みを語ります。
笠原浩夫さん(Avenirチーム エリック役)
「オペラ座の怪人の役ということで、とてつもないプレッシャーを感じています。まさに、息をするだけで重いというか…。家に帰っても死に神の夢を見て、叫び声をあげて飛び起きたくらいで(笑)、自分と向き合っていかなければできない役だなと思ってます。ファントムの名に恥じないように務めさせていただきます」
関戸博一さん(Avenirチーム クリスティーヌ・ダーエ役)
「クリスティーヌは全世界の女優さんが一度は演じてみたいと思っているだろう役。それを男優の僕がやれるのは光栄です。全世界の女優さんにむけて『どうだ、羨ましいだろう』という気持ちでやらせていただこうと(笑)。『オペラ座の怪人』は物語冒頭からクリスティーヌが出てきますが、この『PHANTOM』はエリックの誕生から始まり、彼の旅が積み重なって、彼の人生の最終楽章にたどりつくところがクリスティーヌなんです。その役割も大切に受け止めながら、精一杯やっていこうと思います」
松本慎也さん(Espoirチーム クリスティーン・ダーエ役)
「今回も前編に引き続きマットさんとニックさんの素晴らしい映像と照明の中で、前回に負けない美しい物語を作っていきたいと思います。クリスティーヌはヒロイン役。大きなプレッシャーもありますが、皆さんのイメージを裏切らないように揺れ動く心を繊細に表現して、クリスティーヌのキスの持つ意味を皆さまにお届けできるように真摯に役と向き合っていきたいと思います」
山本芳樹さん(Espoirチーム エリック役)
「オペラ座の怪人=ファントムという世界中で誰もが知ってるキャラクターを演じることができることを、本当に役者として震えるくらいの喜びを感じています。エリックの生涯をしっかりとまっとうできるように、魂を込めて演じたいと思います」
曽世海司さん(Avenirチーム ラウル・ド・シャニー役)
「前回の公演では俳優と俳優が向き合って、そこの間にある空気感を劇場が支配しお客様と共感し合うことができた。海外のアーティストを迎えてしっかりタッグを組むことができた実感がありました。12年前にロンドンで『オペラ座の怪人』を見て感動して、『まさか、このミュージカルをやることはないだろう』と思いながらも『ラウルをやってみたい』と心のどこかで思っていた気がします。今回やらせていただけるということで、とても光栄です」
続いて質疑応答に。
「今回は完結編だが、前回の公演を見ていなくても大丈夫?」という質問には
倉田さんが
「今回からご覧になる方もわかっていただけるようにプロローグの場面を作って、エリックが前編で抱えていたことや出会った人もちゃんと紹介しています。エリックが生きていく中で幼少時に起きたことが心の中でしみついているんですね。キーポイントになるところは彼の心に強く残っている心象風景として(再現して)演じられますので、初めての方にもわかっていただけると思います」
と答えました。また、出演者には
「『オペラ座の怪人』の有名キャラクターを演じるということで、普段の役作りとアプローチが違う?」
という質問が。
笠原さん「約20年前に『オペラ座の怪人』を見て以来ファントムが大好きで、憧れの役。実は僕が今までやってきた役にも、ファントムの要素を勝手に取り入れていたりするんです。アプローチは正直変わらないんですが、自然と(『オペラ座の怪人』の)イメージが入ってくるということはあると思う」
関戸さん「今回僕が演じるのは、ミュージカルにもなっている有名なお話の部分。スーザン・ケイさんの原作を読みながら『ああ、そこはこうだったのか』という新しい発見があったんですね。役として演じる部分はいつもと変わらないですけど、今まで『オペラ座の怪人』を見ていた者としては自分が新たに発見したものが役作りに反映されてくるところはあるかなと思います」
松本さん「クリスティーヌは誰もが知ってる有名なヒロインなので、皆さんにそれぞれのイメージがあると思う。僕自身『クリスティーヌには、こうあってほしい』というイメージがあるので。そのイメージと実際の男の僕が演じることでのギャップがどのくらい埋められるかが、大切なことだなと思います。ビジュアルに関してはメイクさんと衣裳さんの力を借りて(笑)。『前にジュリエットをやったこともあるので大丈夫だろう』と自分に言い聞かせてます(笑)」
山本さん「前編でエリックの幼少期を演じたのですが、お客様に『この少年がいつか、オペラ座の怪人になるんだ』と感じていただければいいなと思いながらやっていました。スタジオライフ版のエリックの仮面は顔の殆どが隠れているものなんです。『仮面の奥はどんな表情しているんだろう』と思ってもらえるような人物になればいいな、と。ファントムの存在感とオーラは出そうと思っても出ないと思うんですけど。とてつもない、人を惹きつける魅力を持ってる人物になれるかどうか……」
と言うと全員から「なんでそんなに弱気なんですか!」と一斉に突っ込みが(笑)。
笠原さんの「一緒に頑張ろう!」という励ましを受けて、山本さんは「一つ一つを積み重ねて、魅力的な怪人になれればいいなと思います」と語りました。
曽世さん「ラウルをミュージカルで見たときに、白馬に乗った王子様というイメージがとても強かった。今回の公演では『オペラ座の怪人』で上演されている部分と同じことをやっているのに、白馬の王子様というイメージから違和感があったんです。僕が演じるのは皆さんがご存じのラウルなんですが、ミュージカル版では描かれていない心情が流れていて、ミュージカル版で描かれていた顛末の後を担うことになるんですね。まだ最後のシーンまでは稽古してないんですが、どう最後にたどりつくのかを自分でも楽しみにしています」
言葉の端々から『PHANTOM』にかける熱い思いが伝わる会見に、公演への期待が更に高まりました。
スタジオライフ『PHANTOM 語られざりし物語~The Kiss Of Christine~』は10月8日~24日(10月6日・7日プレビュー公演)、シアターサンモールで上演されます。
[公演データ]
スタジオライフ『PHANTOM 語られざりし物語~The Kiss Of Christine~』
2012年10月8日~24日シアターサンモール
(10月6日・7日プレビュー公演)
原作:スーザン・ケイ
脚本・演出:倉田淳
出演:笠原浩夫、山本芳樹、関戸博一、松本慎也、曽世海司、岩崎大、石飛幸治、佐藤滋(客演)、及川健、林勇輔、ほか
問い合わせ:スタジオライフ03-5929-7039
公式サイト:http://www.studio-life.com/