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『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』制作発表記者会見
1992年にウィーンで初演。1996年に宝塚歌劇団雪組によって日本初演し大ヒット、その後繰り返し再演されてきたミュージカル『エリザベート』。今年20周年を迎え、『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』が上演されます。宝塚歌劇版の歴代キャストを中心とした豪華メンバーが集結し、なんと元トップスターだけでも19名が出演! この記念すべきコンサートの制作発表記者会見が、11月4日に都内で華やかに行われました。(取材・文/小野寺亜紀、撮影/熊谷仁男)
NEWS & INFORMATION 2016 11/6 UPDATE
1996年の雪組公演から、今年上演回数1001回目を記録した宙組公演まで20年にわたり上演されてきた宝塚歌劇版『エリザベート』。その初演メンバーから現役のタカラジェンヌまでが出演し、3つのバージョンのコンサートが上演されます。出演者が扮装しコンサート形式で本編を上演する「フルコスチュームバージョン」、初演メンバーによる「モニュメントバージョン」、歴代出演者が競演する「アニバーサリーバージョン」です。
まず制作発表記者会見の冒頭、これまで上演されてきた宝塚歌劇版『エリザベート』9公演のダイジェスト映像が年代順に紹介されました。約10分に及ぶこの映像から、各組のメンバーが個性を活かし、それぞれの役作りで演じていた熱量が自ずと伝わってきます。
そして初代トート役の一路真輝さんをはじめキャストの出席者10名、『エリザベート』初演を手掛けた生みの親、宝塚歌劇団 理事・演出家の小池修一郎氏、演出家・中村一徳氏らが登壇しました。
小池氏は「出演者の皆さんが、宝塚歌劇団での男役、娘役としての人生を賭けて燃焼し、一生懸命やってくれたことで20周年に繋がりました。若き日の情熱とはまた違う演技や人生経験、想いを込めて楽曲を歌ってくれるでしょうし、厚みのあるより円熟味を増したコンサートを私自身も楽しみにしています」とコメント。ガラ・コンサートも歴史あるもので、初演の翌年である1997年、2006年、2012年と開催されてきたことに触れ、今回もフルオーケストラでの上演というフォーマットは同じで、ディテールを調整していくことを説明します。
初演から演出助手として『エリザベート』に参加していた中村一徳氏は、「当時稽古場でキャストの熱意や情熱を肌で感じることが出来たのは誇り。今コンサートではアンサンブルまで魅力溢れるメンバーが揃っていますので、20周年に相応しいコンサートに仕上げたいです」と話し、10月中旬から始まった稽古に総力を結集して臨んでいることを明かしました。
続いて、キャストたちがそれぞれ当時の思い出や役作り、今公演の抱負を語りました。
一路真輝さん
「今、初演の制作発表を思い出していました。当時トートの扮装で出てくると、報道陣の皆さんから“宝塚の男役トップスターが死神を演るのか!”という殺気を感じました(笑)。そこから何としても良いものを創らなければと、雪組のメンバーやスタッフと共に命懸けで取り組んできたことをしみじみ思い出します。このように20年経った今も愛されるミュージカルになり、とても嬉しいです。ウィーンでこの作品を初めて観た時、男役が演じると非常に魅力がアップする役だと思いました。そこを一番伝えたいと思って演じました。私は歌詞の中にも出てくる“青い血が流れている”氷のように冷たいトートを創りました」
麻路さきさん
「私は雪組の次に演じさせて頂きましたが初演が素晴らしくて、最初小池先生に若気の至りで『やりたくありません』とお断りしたことを思い出します(笑)。今思えばそれを振り払って頂いて感謝しています。10年目の『エリザベート・ガラ・コンサート』に出演した時は、改めてなんて素晴らしい作品に参加できたんだろうという喜びを感じ、また違う気持ちでトートに取り組めました。星組公演の時は、人間ではないトートがエリザベートを好きになってしまった迷い、冷静な自分でなくなったところを全体的に表現し、間奏などでの居方も研究しました。また相手役の白城あやかさんの退団公演でもあり、送り出す気持ちが役と重なり、精神的に入りやすかったのを覚えています」
姿月あさとさん
「当時、雪組、星組公演を観て大好きだった作品に出演できることが嬉しく、千秋楽で衣装や鬘をとった時、二度とこの役を演じることはないのかと感極まる思いでした。まさか退団してから2006年、2012年、そして今回とガラ・コンサートでトートに出合えるとは思いませんでした。昨日衣装合わせをしましたが、まだ当時の衣装が残っているのが宝塚の素晴らしいところ。今回新たな試練というか挑戦がやってきたなという、不思議な感覚です。現役時代は中性的な“黄泉の帝王感”と、クラシックの中にロックテイストが入っているのを意識しながら演じていました。この作品は楽曲を読み込めば読み込むほど難しい。一音一音を大切に、そして二度と戻らない時間を大切に演じたいです」
彩輝なおさん
「私は麻路さきさんの星組公演で革命家の一人を、新人公演ではトート役を演じ、2005年に退団公演としてトート役をさせて頂きました。当時は最後まで試練も感じましたが、とても大切な思い入れの深い役になりました。繊細な部分や人間ではない冷たさを大切に、そして役の大きさを意識して演じていた記憶があります。2012年のガラ・コンサートで再びトートに出合い、いつも自分自身を知り、成長を感じさせてくれる役となりました。今回新たに一役者として、『エリザベート』を愛する者として役を掘り下げ、大切に演じたいです」
春野寿美礼さん
「2002年の花組公演でトートを演じましたが、初演から6年経ち、作品の人気や知名度も上がっていたなかでの公演だったので、毎日必死で押しつぶされていました。やはり作品の魅力の大きさがそうさせたのだと思います。お客様がイメージされるトート像と自分の理想との狭間でとても苦労しました。黄泉の帝王や“死”というものの気持ちを強く表現するのはどうだろうと思いながら、自分自身の気持ちを大切に演じました。20周年を迎え、私もその一駒になれたのが幸せです。先輩方が築き上げられた土台を大切に、今自分が表現できることを歌に注ぎ込んで、お聴かせしたいです」
水夏希さん
「『エリザベート・ガラ・コンサート』は初参加となります! 私は2007年にトップお披露目公演として出演させて頂き、無我夢中でした。楽曲の難しさはもちろん、ウィーンへ行っても“死”という役作りの手がかりがなく困りました。イタリアへ旅行した時、宗教画を見て、天と地、人の命、天使や神というところからイメージできたものがあり、そこから役を膨らませることができました。私は変身願望が強いところから宝塚歌劇団に入ったので、また特殊メイクをして男役の衣装を着ることができるのがとても嬉しいです。男役として過ごした20年間と、退団後の6年間のすべてを費やし、命懸けでトートを演じたいと思います」
大鳥れいさん
「私は春野寿美礼さん主演の花組公演で、自分の退団公演としてエリザベートを演じました。この役を出来ることが幸せで、体力も気力も充実している時に演じ、楽しくて仕方がありませんでした。バイエルンの少女がどうしてこんな数奇な運命を辿ってしまったのか、というところが難しく、日々彼女の心に寄り添うことが課題でもありました。退団後にガラ・コンサートで演じるごとに、この役の大きさを改めて感じています。今回、龍真咲さんもエリザベートを演じますが、稽古場で拝見していると、彼女のような若さとキラキラには敵わないなと思います(笑)。私はまた一から脚本を読み、哀愁と経験で演じ切りたいと思います」
白羽ゆりさん
「私は宝塚歌劇団入団1年目で宙組公演に出演し、当時は男役として司祭役を演じたり、稽古場で花總まりさんに小道具のナイフを渡したりしていました。まさかその9年後、自分がエリザベート役を演じるとは夢にも思いませんでした。当時ウィーン版の舞台が来日した時で、ウィーンの方ともお話させて頂いたのですが“エリザベートは決して悲劇のヒロインとして演じてほしくない”と言われたのが印象に残っています。野性的な部分や強さを出せたらと思っていました。また年齢を重ねていますので、新たな発見をしながら挑戦できればと思います」
龍真咲さん
「このたび私は大阪公演ではエリザベート役を、東京公演ではルキーニ役を演じさせて頂きます。エリザベートは初挑戦ですが、トート役である麻路さきさんの大きな愛と包容力、彩輝なおさんの繊細な愛と妖艶な光というお二人の胸を借りて、しっかりと波乱万丈なエリザベートの人生を歩んでいきたいです。ルキーニ役は、宝塚歌劇団を退団し女性に戻ろうとしていたところですぐに男役を演じることが、一歩踏み出して一歩戻るというような感じがしますが、ルキーニ役との縁を感じつつ、両役とも楽曲のエネルギーに負けないように演じたいです。余計なものを付けたさずに、メロディが表現してくれる歌詞や感情をしっかりつかむことが、私の一番の課題だと思っています」
凪七瑠海さん(宝塚歌劇団 専科)
「当時宙組の男役だった私が、月組公演に特別出演しエリザベート役を演じることは、皆様にとってもでしょうし、私自身も衝撃的でした。女役としてどう舞台に立てばいいのか、大劇場で一人で歌うことも初めてで、技術的な面でも色々なものに囚われていました。精神面でも鍛えられたこの『エリザベート』を乗り越えられたから、今は何でも乗り越えられると思うようになりました。もう一度この役に巡り合えたことは光栄です。現役生という立場で先輩の方々とご一緒できるのも幸せですし、エリザベートの内面の部分をもっと深く追求し、新たな気持ちで挑戦したいです」
小池氏は彼女たちのコメントを終始笑顔で聞き、改めて20年続いてきた感慨を語りました。「初演時は一路真輝さんの退団公演を成功させることが一番大きな課題でした。一路さんのファン、雪組を愛する方たちが最後の公演で毛色の違った作品に挑戦することに、エールを送って下さったことが印象深いです。その後星組、宙組と続けたことで、再演を重ねていける演目になったという実感があります」。初演の幕が開けて間もない頃、当時の阪急電鉄株式会社の会長であった故小林公平氏が、「これを続けてすぐに4組でやりなさい」と英断されたのも、成功の大きな要因だったと話します。
また作品の魅力については、音楽の素晴らしさ、日本人が好きなハプスブルク家の物語ということに加えて、「(オリジナル脚本・歌詞の)ミヒャエル・クンツェさんが、回想録で、エリザベートが死を求めたのなら、”死”が具体的に役として登場し最後は結ばれるとすると、これはラブストーリーであり逆説的なハッピーエンドになると気付いた、とおっしゃっていますが、そのひらめきこそがタカラヅカにぴったりだった」と語ります。宝塚作品としては、戦後のヒット作『虞美人』『ベルサイユのばら』と同じく、「王朝が滅びる時に、王妃が関わるというパターンにも非常にぴったりとはまった」とも話しました。
まさに様々な偶然や、奇跡が重なっての20周年。その『エリザベート』の魅力を、多彩な組み合わせのライブ感溢れるこのコンサートで堪能してください!
三井住友VISAカードpresents
『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナルプロダクション:ウィーン劇場協会
構成・演出・訳詞:小池修一郎
演出:中村一徳
出演:一路真輝、麻路さき、高嶺ふぶき、稔幸、香寿たつき、えまおゆう、姿月あさと、白城あやか(東京公演のみ)、湖月わたる、月影瞳、彩輝なお、花總まり、安蘭けい、春野寿美礼、朝海ひかる、大空祐飛(東京公演のみ)、瀬奈じゅん(東京公演のみ)、水夏希、大鳥れい、霧矢大夢(大阪公演のみ)、紫城るい、白羽ゆり、凰稀かなめ(東京公演のみ)、龍真咲、ほか
<宝塚歌劇団>※特別出演
轟悠(東京公演のみ/大阪公演はビデオ出演)
京三紗、飛鳥裕、五峰亜季、美穂圭子、凪七瑠海(東京公演のみ)
◆大阪公演 12月9日(金)~18日(日) 梅田芸術劇場メインホール
◆東京公演 2017年1月8日(日)~20日(金) Bunkamura オーチャードホール
梅田芸術劇場 東京:0570-077-039 大阪:06-6377-3800